「アカペラのパートって何がある?」
「各パートの役割を知りたい!」
最近よくテレビ番組などで、アカペラが取り上げられていますね。
声だけで生み出されるハーモニーに、誰しも一度は聞き入ったことがあるのではないのでしょうか。
今回は音楽を構成する3要素を参考に、アカペラの6つのパートの役割を解説します。
アカペラは自分の声だけで気軽に始めることができますが、実はとても奥が深い世界です。
各パートがどのような役割を担うのかを理解して、あなたもハーモニーの1ピースになってみませんか?
目次
1.アカペラとは
アカペラとは無伴奏での合唱のことです。
アカペラは「聖堂で」「礼拝堂で」という意味で、簡素化された教会音楽が転じたものとされています。
楽曲は聖歌や黒人霊歌に限らず、最近ではゴスペル、R&B、ソウル・ミュージック、ジャズ、ロック、ポップスなどさまざまなジャンルの音楽でアカペラが取り入れられています。
マイクの使用を前提とするため、声で打楽器の音を出したり(ボイスパーカッションやヒューマンビートボックスなど)、トランペットやギターなどの楽器の音を真似るなど、さまざまな表現手法を用いることができます。
日本では、山下達郎が自分の声を多重録音することで1人でアカペラの作品を作ったり、2000年頃にはゴスペラーズが人気を得て、アカペラが世間一般に知れ渡りました。
アカペラでは全員がそれぞれ違ったパートを奏でますが、それが重なることにより1つの音楽となるのが魅力です。
2.6つの主要パートとそれぞれの役割を解説
一般的に、アカペラは5~6人で構成されます。
音楽を構成する3要素には「メロディ」「ハーモニー」「リズム」がありますが、アカペラは人の声だけで「メロディ」「ハーモニー」「リズム」を分担して表現します。
合唱と違って、各パートに1人しかいないため、1人1人に重要な役割があります。
グループのメンバーの男女比は、ゴスペラーズやRAGFAIRのように男性だけで構成されているグループもあります。
男女半々、または女性だけ、女性が1人であとは男性で構成されているグループも存在し、メンバー構成は多種多様で特に決まりはありません。
アカペラの主な6つのパートは、以下の通りです。
なお、5人グループの場合は、パーカッションがいないか、コーラスパートを一人減らして対応します。
では、順に解説します。
(1)リードボーカル(メロディ担当)
リードボーカルは、「メロディ(主旋律)」を担当して、グループを引っ張っていく存在です。
リードボーカルはそのグループの顔であり、一般的にはグループ内の最も歌が上手い人が担当することが多いです。
また、曲の途中でリードボーカルを入れ換えることもあり、このことをアカペラ用語で「リードを回す」と言い、楽器ではないからこそ、曲の途中で担当を入れ換えることができるのもアカペラならでは特徴です。
(2)トップコーラス(ハーモニー担当)
「ハーモニー」を作るパートをコーラスと言い、基本的にはトップコーラス・セカンドコーラス・サードコーラスの3人がいます。
ハーモニーは「異なった高さの音を同時に鳴らして綺麗に響かせる」という意味で、コーラスの役割はメロディを歌うリードボーカルの後ろで、伴奏にあたる部分を声を使って作ることです。
トップコーラスは、女声の一番高い音域である「ソプラノ」を担当します。
アカペラの楽譜では一番上に書かれることから「ファースト」とも呼ばれ、声がよく通る、ファルセット(=裏声)が得意な人が向いています。
第二の主旋律である裏メロディを担当することも多く、リードボーカルに次いで、曲の出来を左右する大事なパートです。
(3)セカンドコーラス(ハーモニー担当)
セカンドコーラスは、女声の中間~やや低めの音域の「アルト」を担当します。
トップコーラスのソプラノほどキーが高くないので、落ち着いたトーンで歌いたい人に向いています。
ボーカルと同じ歌詞を音程違いで歌う、つまり「ハモる」こともあれば、「うー」「あー」などの言葉で伴奏を表現することもあり、縁の下の力持ちのような役回りがあります。
セカンドコーラスは合唱に厚みを加え、音楽を豊かにするという重要な役割を担っているため、派手さはないものアカペラでは欠かすことができないパートです。
(4)サードコーラス(ハーモニー担当)
サードコーラスは、男声の高~中音域のパートである「テナー(テノール)」を担当します。
基本はハーモニーを担当しますが、混声グループの場合にはハーモニーだけでなくメロディを担当することも多くなるので、ある意味では混声合唱の花形パートとも言えるでしょう。
ハーモニーの時には他のパートと溶け合うような音色で歌う必要がありますが、メロディの時は目立つように伸びやかな高音で歌うことが求められ、難易度が高いパートです。
サードコーラスは周囲の状況に合わせて臨機応変な対応力が求められることから、耳が良い・まわりの音につられにくい人が向いています。
(5)ベース(リズム担当)
ベースは、すべてのパートの中で一番低い音域を担当します。
低い声は聞こえづらくなかなか目立ちませんが、ハーモニーの基本となる音を鳴らして、音楽の土台を作るという重要な役割を担っています。
アカペラの場合、ベースが入るのと入らないのでは音が全くの別物になり、ベースが入ることでハーモニーの重厚感や迫力が増します。
そのため、ベースは安定感がとても重要です。
ベースがどっしり構えていると、多少リードボーカルやコーラス隊が乱れても修正できるため、どんな状況でも動じない冷静さを兼ね備えてる人が適任と言えるでしょう。
(6)ボイスパーカッション(リズム担当)
ボイスパーカッションは、いわゆる”ボイパ”と呼ばれるパートです。
ボイパは、楽器バンドでいうところのドラムに当たるパートを担当し、声で打楽器を真似してリズムセクションを歌います。
場を取り仕切る役割があり、 そのためには安定したリズムを提供し、曲の進行をリードしなくてはなりません。
メロディを活き活きとさせたりテンポ感をハッキリさせたりと、全体のリズムやグルーヴを計算できる職人気質の人が向いているパートです。
3. アカペラの各パートに向いている人はこんな人
アカペラは、6つのパートが複雑に絡み合って音楽を作っています。
音楽にはメロディが必要ですが、それを支える他の音達も不可欠で、互いに補完しあうことで音楽は成立するからです。
各パート毎に担当・役割・適性をまとめると、以下の通りです。
パート | 担当 | 役割 | 向いている人 |
リードボーカル | メロディ | 曲の全体的な流れを担いリードする | 歌唱力がある人 |
トップコーラス | ハーモニー | 伴奏にあたる部分を歌いメロディを引き立たせる | コーラスはグループで行うため、協調性がある人 |
セカンドコーラス | ハーモニー | ハーモニーを担当し、歌に厚みを持たせる | 補助的な役割を厭わない人 |
サードコーラス | ハーモニー | ハーモニーを担当し、歌にダイナミズムを与える | 臨機応変な対応力がある人 |
ベース | リズム | メロディとリズムをつないで音の深みを出す | グループの土台として、全体を聴いてまとめることができる人 |
パーカッション | リズム | 安定したリズムを提供して曲の進行をリードする | リズム感覚に優れている人 |
アカペラは一度で上手く歌えることは少なく、歌い終わったら、その都度メンバー間で話し合いをする必要があります。
より上手に歌うことができるよう、一人の人の意見に流されることなく、皆で意見を述べあって改善していくことが大切です。
アカペラには実際にやってみないとわからない、奥深さや楽しみ方があるので、この記事を読んだ人はぜひ挑戦してみてくださいね!
まとめ
アカペラはリードボーカル、3つのコーラス隊、 ベース、ボイスパーカションの6つのパートが存在します。
人の声は十人十色であり、まさに唯一無二の音楽です。
「メロディ」「ハーモニー」「リズム」を人の声だけで表現する楽しさは、一度味わったらきっとやみつきになることでしょう。