「代理コードにはどんな効果が期待できるの?」
「代理コードって具体的にはどのような種類があるの?」
スリーコードの代理となるコードがあることは知っていても、具体的にどのコードが該当するのか知らない人も多いのではないでしょうか。
実は、代理コードは機能ごとに決まっており、規則性を把握することで簡単に覚えることができるのです!
本記事では、代理コードの仕組みやキーごとの代理コードを紹介します。
この記事を読めば、代理コードを理解して音楽理論を深く考えることができるようになりますよ!
なお、代理コードを理解するにおいてダイアトニックコードは理解しておく必要があるので、ダイアトニックコードについて詳しく知らない人は以下の記事を先にご覧ください!
目次
1.代理コードとは
代理コードとは、スリーコード(主要三和音)以外のトニックコード、サブドミナントコード、ドミナントコードの機能を持つコードのことです。
スリーコードであるⅠ、Ⅳ、Ⅴのコードと構成音が2つ一致しているので、特徴が似ておりスリーコードの代わりとして使用することができます。
代理コードはスリーコードと似ていますが、完全に一致するわけではないので、若干聴こえ方に違いが生まれ、スリーコードだけを使うよりも深みのあるコード進行にすることが可能です。
表現の幅が広がるので、スリーコードを使いこなせるようになったら代理コードを混ぜてみましょう!
なお、以下の記事でスリーコードについて具体的に紹介しているので、あわせてご覧ください!
2.メジャーキーの代理コード一覧
メジャーキーのダイアトニックコードの代理コードを紹介します。
紹介するコードは以下の3つの機能です。
順に紹介するので、機能ごと押さえて正確に覚えましょう!
なお、メジャーキーのダイアトニックコードの基となるメジャースケールについて以下の記事で紹介しているので、あわせてご覧ください!
(1)トニックコード
スリーコードのⅠにあたるコードがトニックコードです。
トニックコードとはダイアトニックコードの中で主音のコードで、安定感が強い特徴があります。
トニックコードの代理コードは以下の2つです。
Ⅲm(Ⅲm7)・Ⅵm(Ⅵm7)
たとえば、Cのキーのダイアトニックコードは、以下の表のような音の構成になっています。
Cメジャースケール | 構成音 |
---|---|
C | C・E・G |
Dm | D・F・A |
Em | E・G・B |
F | F・A・C |
G | G・B・D |
Am | A・C・E |
Bm(♭5) | B・D・F |
ⅠのコードであるC(C・E・G)と構成音が2つ一致しているEm(E・G・B)とAm(A・C・E)が代理コードです。
メジャースケールのⅠの代理コードを表にまとめたので、覚えられない人は参考にしてみてください!
キーコード/トニックコード(Ⅰ) | トニックコードの代理コード(Ⅲm・Ⅵm) |
---|---|
C | Em・Am |
D | F♯m・Bm |
E | G♯m・C♯m |
F | Am・Dm |
G | Bm・Em |
A | C♯m・F♯m |
B | D♯m・G♯m |
D♭ | Fm・B♭m |
E♭ | Gm・Cm |
F♯ | A♯m・D♯m |
A♭ | Cm・Fm |
B♭ | Dm・Gm |
なお、以下の記事でトニックコードについて具体的に紹介しているので、あわせてご覧ください!
(2)サブドミナントコード
サブドミナントコードはⅣのコードにあたり、他のコードを引き立てる役割があります。
サブドミナントコードの代理コードは1つです。
Ⅱm(Ⅱm7)
たとえば、Cメジャースケールの場合は、サブドミナントコードがF(F・A・C)なので、2つの構成音が一致するDm(D・F・A)がサブドミナントコードの代理コードとなります。
なお、Am(A・C・E)も2つの構成音が一致しますが、トニックコードの代理コードに分類されるので、サブドミナントコードは1つなので注意してください。
以下の表に12個のサブドミナントコードの代理コードをまとめたので、一度目を通しておきましょう!
キーコード(Ⅰ) | サブドミナントコード (Ⅳ) | サブドミナントコードの 代理コード(Ⅱm) |
---|---|---|
C | F | Dm |
D | G | Em |
E | A | F♯m |
F | B♭ | Gm |
G | C | Am |
A | D | Bm |
B | E | C♯m |
D♭ | G♭ | E♭m |
E♭ | A♭ | Fm |
F♯ | B | G♯m |
A♭ | D♭ | B♭m |
B♭ | E♭ | Cm |
なお、サブドミナントについては以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ併せてご覧ください!
(3)ドミナントコード
不安定な響きが特徴のドミナントコードは、Ⅴのコードが該当します。
ドミナントコードの代わりに使えるコードも1つです。
Ⅶm(♭5)
つまり、CメジャースケールのドミナントコードであるG(G・B・D)の代わりとして、Bm(♭5)(B・D・F)が使えるということです。
Bm(♭5)は不協和音を起こしやすい特徴があるので、他のダイアトニックコードに比べて使い方が難しいと言えます。
初心者のうちは使う機会が少ないかもしれませんが、以下の表に全てのドミナントコードの代理コードをまとめているので、調べたいときは参考にしてください!
キーコード(Ⅰ) | ドミナントコード(Ⅴ) | ドミナントコードの代理コード(Ⅶm(♭5)) |
---|---|---|
C | G | Bm(♭5) |
D | A | C♯m(♭5) |
E | B | D♯m(♭5) |
F | C | Em(♭5) |
G | D | F♯m(♭5) |
A | E | G♯m(♭5) |
B | F♯ | A♯m(♭5) |
D♭ | A♭ | Cm(♭5) |
E♭ | B♭ | Dm(♭5) |
F♯ | C♯ | Fm(♭5) |
A♭ | E♭ | Gm(♭5) |
B♭ | F | Am(♭5) |
なお、ドミナントについては以下の記事でも紹介しているので、併せてご覧くださいね!
3.マイナーキーの代理コード一覧
マイナーキーのダイアトニックコードの代理コードを紹介します。
紹介する代理コードは、メジャーキー同様に以下の3つです。
順に紹介するので、メジャーキーとも比較しながら違いを把握しておきましょう!
なお、マイナーキーのダイアトニックコードの基となるマイナースケールについて以下の記事で紹介しているので、あわせてご覧ください!
(1)トニックマイナーコード
トニックマイナーコードはⅠmにあたります。
メジャースケールのトニックコードの代理コードは2つでしたが、トニックマイナーコードの代理コードは以下の1つです。
Ⅲ♭
たとえば、Cmスケールのダイアトニックコードの場合、トニックマイナーコードはCm(C・E♭・G)で代理コードはE♭(E♭・G・B♭)となります。
トニックマイナーコードの代わりとして使えるコードを以下の表にまとめたので、必要なときに参照ください!
キーコード/トニックマイナーコード(Ⅰm) | トニックマイナーコードの代理コード(Ⅲ♭) |
---|---|
Cm | E♭ |
Dm | F |
Em | G |
Fm | A♭ |
Gm | B♭ |
Am | C |
Bm | D |
C♯m | E |
D♯m | F♯ |
F♯m | A |
G♯m | B |
B♭m | D♭ |
(2)サブドミナントマイナーコード
Ⅳmがサブドミナントマイナーコードです。
サブドミナントマイナーコードの代理コードは以下の2つが該当します。
Ⅱm(♭5)・Ⅵ♭
CmスケールのサブドミナントマイナーコードであるFm(F・A♭・C)の代理コードは、Dm(♭5)(D・F・A♭)とA♭(A♭・C・E♭)となります。
サブドミナントマイナーコードの代理コードを使うときは、以下の表を参考にしてみてください!
キーコード(Ⅰm) | サブドミナントマイナーコード(Ⅳm) | サブドミナントマイナーコードの 代理コード(Ⅱm(♭5)・Ⅵ♭) |
---|---|---|
Cm | Fm | Dm(♭5)・A♭ |
Dm | Gm | Em(♭5)・B♭ |
Em | Am | F♯m(♭5)・C |
Fm | B♭m | Gm(♭5)・D♭ |
Gm | Cm | Am(♭5)・E♭ |
Am | Dm | Bm(♭5)・F |
Bm | Em | C♯m(♭5)・G |
C♯m | F♯m | D♯m(♭5)・A |
D♯m | G♯m | Fm(♭5)・B |
F♯m | Bm | G♯m(♭5)・D |
G♯m | C♯m | A♯m(♭5)・E |
B♭m | E♭m | Cm(♭5)・G♭ |
なお、サブドミナントマイナーについては以下の記事でも紹介しているので、ぜひご覧ください!
(3)ドミナントマイナーコード
ドミナントマイナーコードはⅤmが該当します。
ドミナントマイナーコードの代理コードは以下の通りです。
Ⅶ♭
規則性に従うと、CmスケールのドミナントマイナーコードはGm(G・B♭・D)で、代理コードはB♭(B♭・D・F)となります。
ドミナントマイナーコードの代理コードは以下の表の通りなので、一通り目を通しておきましょう!
キーコード(Ⅰm) | ドミナントマイナーコード(Ⅴm) | ドミナントマイナーコードの 代理コード(Ⅴm) |
---|---|---|
Cm | Gm | B♭ |
Dm | Am | C |
Em | Bm | D |
Fm | Cm | E♭ |
Gm | Dm | F |
Am | Em | G |
Bm | F♯m | A |
C♯m | G♯m | B |
D♯m | A♯m | C♯ |
F♯m | C♯m | E |
G♯m | D♯m | F♯ |
B♭m | Fm | A♭ |
まとめ
代理コードは、コード進行に少し動きをつけたいときに使われます。
スリーコードだけでも立派なコード進行を作ることはできますが、単調になりやすいので、音にアクセントを加えたいときに効果的です。
楽曲制作やアレンジで代理コードを使いたいと思った人は、今回まとめた表を参照して作業効率を上げましょう!
なお、スリーコードや代理コードを使った基本的なコード進行を知りたい人は、以下の記事もあわせてご覧ください!