「ヨルシカの雨とカプチーノはどんな曲?」
「雨とカプチーノにはどのような特徴があるの?」
このように思ったことはありませんか?
雨とカプチーノは、ヨルシカが手掛ける2つのアルバムによる壮大な物語の中の一曲で、言葉の美しさを繊細に表現したボーカルの歌声やグルーヴィーな曲調が人気の楽曲です。
今回の記事では、雨とカプチーノの基本情報や人気の理由を紹介するとともに、雨とカプチーノコードの特徴を詳しく解説していきます。
この記事を読んで雨とカプチーノコードについて理解し、ぜひご自身の曲作りにも取り入れてみましょう。
目次
1.雨とカプチーノとは
雨とカプチーノは、ヨルシカが2019年にリリースした2ndフルアルバム「エルマ」に収録されている楽曲です。
ヨルシカは、作詞・作曲を手掛けるn-bunaと透き通る歌声が魅力のボーカルsuisの男女2人組のバンドです。
このバンドは、「作者が作品より前に出ることなく、先入観なしに作品を見てほしい」という思いから、現在のところ顔やプロフィールを公開していません。
雨とカプチーノが収録されたアルバム「エルマ」は、1stアルバム「だから僕は音楽を辞めた」の続編にあたり、この2つのアルバムを横断するようにして少年エイミーと少女エルマの物語が展開されていきます。
これと同様に、3rdアルバムの「盗作」と1stEP「創作」も地続きの同じコンセプトを持つ作品です。
このように、ヨルシカの作品は、まず最初に壮大な物語が創作され、その物語のために個々の楽曲が書き下ろされてアルバムが完成するという形をとっていることから、ただの音楽アルバムにとどまらない新ジャンルの文学作品であるとも言われます。
アルバム「エルマ」の中で、主人公のエルマは、前作(だから僕は音楽を辞めた)の主人公エイミーから送られた手紙に影響を受け、エイミーと同じ道を旅します。
そして、雨とカプチーノは前作のアルバムに収録された「詩書きとコーヒー」のアンサーソングとして、エルマの目線でエイミーのいない世界を生きていく気持ちが描かれているのです。
このように、雨とカプチーノはヨルシカが手掛ける壮大な音楽作品の中の1つであり、単体で曲を聴くだけでなく、対になる曲やアルバム曲全体を聴き進めることでさらに楽曲への理解を深めることができます。
2.雨とカプチーノが人気の2つの理由
次に、雨とカプチーノ人気の理由を以下の2つの観点から説明します。
- ヨルシカが作り出す文学的な歌詞の世界観
- ボーカルsuisの繊細な表現力とグルーヴィーな楽曲
順番に説明します。
理由1:ヨルシカが作り出す文学的な歌詞の世界観
雨とカプチーノが人気の理由の1つ目に、ヨルシカが作り出す文学的な歌詞の世界観が挙げられます。
本楽曲は、ヨルシカが作り出したエイミー・エルマの物語の1つで、前作のアルバムに収録された「詩書きとコーヒー」のアンサーソングとして作られています。
詩書きとコーヒーは、エイミーが愛情や音楽への情熱を失っていく様子をコーヒーが冷めていく様に重ねて歌っていました。
そんなエイミーの心変わりを受け、雨とカプチーノではエルマがエイミーの不在を受け入れて前を向こうと努力しつつも虚無感を感じてしまう切ない歌詞が描かれます。
両方の歌詞を理解することで、エイミーとエルマは一緒にはなれなかったけれど、同じ想いを持っていた時期もあるのだろうと推察できます。
この、アルバムを横断しつつ物語の世界を深く描こうとする文学的な歌詞が、多くの若者の胸に刺さり人気を博しているのです。
このように、雨とカプチーノは2つのアルバムで描かれる壮大な物語を背景とした文学的な歌詞が特徴的で、若者を中心に多くの支持を集めています。
理由2:ボーカルsuisの繊細な表現力とグルーヴィーな楽曲
雨とカプチーノが人気の理由の2つ目に、ボーカルsuisの繊細な表現力とグルーヴィーな楽曲が挙げられます。
ギターとリズムの躍動感が心地よいグルーヴィーな曲に乗せて、ボーカルsuisの美しく繊細な歌声が説得力を持って伝わってきます。
また、曲中には珍しい転調やメロディとコードのぶつかり合いなどの手法が使われており、聴き始めるとだんだんクセになってきます。
淡々と進むAメロから一気に雰囲気の変わるサビは、曲の変換に合わせたMVの展開とも相まって聞き手を驚かせてくれますよね。
このように、雨とカプチーノは、ボーカルの透き通る歌声と独特の手法を用いたグルーヴィーな楽曲が魅力です。
3.雨とカプチーノのコードの特徴
ここからは、雨とカプチーノのコードの特徴を、以下の2つのパートに分けて解説していきます。
- Aメロ
- サビ
順番に説明します。
(1)Aメロ
雨とカプチーノのAメロのコード進行は以下の通りです。
| E F# | G#m B |E F# |G#m D#/G |
“灰色に白んだ言葉はカプチーノみたいな色してる”
| E F# | G#m B |E F# |G#m D#/G |
“言い訳はいいよ 窓辺に置いてきて 数え切れないよ”
AメロのキーはBメジャーで、3連符よりのリズムとなっているのが特徴的です。
1~2小節目の「E→F#→G#m→B」にはダイアトニックコードが使われ、コードが順次上昇しています。
このコード進行は、他のヨルシカの楽曲である「爆弾魔」や「春泥棒」、「だから僕は音楽をやめた」などでも使用されており、ヨルシカが得意とする技法のようですね。
5~8小節目の「E→F#→G#m→D#/G」では、D#/Gがノンダイアトニックコードであるために少し濁ったような変わった響きが感じられます。
なお、ダイアトニックコードについては以下の記事でも詳しく述べていますので参考にしてください。
(2)サビ
雨とカプチーノのサビのコード進行は以下の通りです。
| D# B | C# A# |B F#/A# |Cdim Ddim |
“さぁ揺蕩うように雨流れ 僕らに嵐す花に溺れ”
サビからは、キーが完全5度上のF#メジャーに転調しています。
サビ前のコードA#からサビ頭のコードD#mにつながっているため、ドミナントモーションを使った転調と言えますね。
この曲は、Aメロからサビに移る際に曲調に劇的な変化がある点が大きな特徴です。
なお、ドミナントーモーションについては以下の記事でも詳しく述べていますので参考にしてください。
次に、各小節について解説していきます。
1~2小節目の「D#→B→C#→A#」は、小室進行に似ており、4音目だけA#という違ったコードにしたことでより感動的な雰囲気が演出されています。
最初のコードをマイナーコードで入ることで、切なさが感じられますね。
3~4小節目の「B→F#/A#→Cdim→Ddim」は、独特の緊張感のある響きがします。
その理由として以下の2点が挙げられます。
- dimコードが2回連続で登場する(dimコードはマイナーコードの5番目の音を半音下げるため、ただでさえ不安定な響きになる)
- dimコードの構成音とメロディ音が半音違いである(あえて半音違いの音をぶつけることで不穏な雰囲気を演出している)
いずれも他の曲ではあまり見られない、ヨルシカ特有の珍しい手法です。
このサビのキー変更や〇dimの使い方が他の楽曲にはない独特の響きを生み出し、繰り返し聞きたくなる中毒性をもたらしているのでしょう。
まとめ
今回の記事では、雨とカプチーノの基本情報や人気の理由を紹介するとともに、雨とカプチーノコードの特徴を詳しく解説しました。
雨とカプチーノは、ヨルシカが手掛ける2つのアルバムによる壮大な物語の中の一曲で、言葉の美しさを繊細に表現したボーカルの歌声やグルーヴィーな曲調が人気の楽曲です。
この記事を読んで雨とカプチーノコードについて理解し、ぜひご自身の曲作りにも取り入れてみましょう。