「転調すると曲にどんな効果をもたらすの?」
「転調が効果的なJPOP曲を知りたい?!」
作曲活動を始めたばかりのときは、転調について深く理解していない人も多いのではないでしょうか。
最もポピュラーな転調は曲のクライマックスで半音、 あるいは全音を上げる手法で、曲の最後に盛り上がりを作ることができます!
本記事では、転調の目的や効果、転調が効果的なJPOPおすすめ6曲を紹介します。
バンドでオリジナル曲を作っている方は、転調のテクニックを習得して、作曲やアレンジの幅を広げてくださいね!
目次
1.転調の基礎知識
転調とは、曲中で調を変化させることです。
曲は一般的に「調」という「一定の音の集まり」を中心として成り立っていて、「調」は、ポップス・ロックでは「キー」と呼ばれることもあります。
曲には冒頭から末尾までひとつの調を扱う曲がある一方、曲の途中で調を転換させることもあり、後者を転調する曲と呼びます。
転調は曲の中で一時的に他の調に移って元の調に戻ったり、調が変わったまま曲を終えたり様々です。
キーについては以下の記事で詳しく解説を行っているのでぜひご覧ください。
(1)転調の効果
転調は、曲にメリハリをつけたいときに取り入れるテクニックです。
ずっと同じリズム、同じ音、同じ展開では聴き手は飽きてしまいますが、転調することによって曲の中で変化が生まれ、聴く人を飽きさせない効果があります。
JPOPで頻繁に用いられる転調は、サビのクライマックスで半音もしくは全音高くして、聴き手の気分を高揚させる手法です。
このように、転調を上手く取り入れると曲中に起伏を作ることができ、また、曲の世界観を拡げることもできるのです。
(2)転調のパターン
JPOP曲における転調は、以下の方法を採る傾向が多いです。
・調を1個(=半音分)上げるもの(例:Aメジャー→B♭メジャー)
・調を2個(=半音2個分)上げるもの(例:Cマイナー→Dマイナー)
・同主調同士で移るもの(例:F#マイナー→F#メジャー)
・短3度(半音3個分)ずらして移るもの(例:Cメジャー⇔E♭メジャー)
・平行調同士と同主調同士の移動を併用するもの(例:Gメジャー→Eマイナー→Eメジャー / Eマイナー→C#マイナー→Eメジャー)
転調の種類によって曲の展開に刺激を与えることができたり、情景や雰囲気の変化をもたらすことができたりするので、多くのパターンを知っておいて損はないでしょう。
転調については以下記事でも詳しく解説を行なっているのでぜひ読んでみてください。
2.転調が効果的なJPOPおすすめ6曲を紹介
転調が効果的なJPOPおすすめ6曲を紹介します。
順に解説します。
(1)サウダージ/ポルノグラフィティ
転調が効果的な1つ目のJPOPおすすめ曲は、ポルノグラフィティの『サウダージ』です。
この曲では、ラストのサビの部分で転調を見ることができます。
クライマックスであるラストのサビでEマイナーからFマイナーに半音上がりますが、実は楽器の演奏よりもボーカルだけ先に転調しています。
そのため、必然的にボーカルが転調後の演奏をグイグイとひっぱっていく形になっています。
調が上がることでボーカルが必死に歌い上げる様子が曲の勢いを加速させ、展開感のある演出が生み出されているのです。
(2)愛をこめて花束を/Superfly
転調が効果的な2つ目のJPOPおすすめ曲は、Superflyの『愛をこめて花束を』です。
この曲では、間奏後の英語の歌詞を多用したCメロパートの後に、B♭→Cと全音転調しています。
ボーカルの伸びやかな歌唱と転調を組み合わせることによって、クライマックスの高揚感を導くことに成功しました。
ラストのサビでキーの上がる比較的よくあるパターンの転調ですが、非常にスムーズでありながら心地良い転調が楽しめる一曲です。
(3)名もなき詩/Mr.Children
転調が効果的な3つ目のJPOPおすすめ曲は、Mr.Childrenの『名もなき詩』です。
この曲では、ギターソロの間奏後のBメロを1オクターブ上で歌い、高揚感を演出した後に転調しています。
さらに、サビ頭のフレーズを2回繰り返しすることによって、よりラストへ向けてのワクワク感を強調させる仕上がりになっています。
転調を繰り返しても不自然さが一切ないのは、さすがヒットメーカーのミスチルならではの高度な手法と言えるでしょう。
(4)ポニーテールとシュシュ/AKB48
転調が効果的な4つ目のJPOPおすすめ曲は、AKB48の『ポニーテールとシュシュ』です。
アイドル曲と言えば「単純、明快」というイメージがありますが、この曲で使われている転調テクニックはよく練られたものになっています。
例えば、最初のサビの転調では、転調前のキーはAメジャーで、転調後はG♭メジャーです。
上がるのではなくて下がる転調の手法は珍しく、音を下げることによってサビを歌いやすい音程に直しています。
歌はサビに向かって高揚していくことが通常ですが、そうすると平歌が低くなってしまうというデメリットがあります。
サビでキーを下げる転調を行うことで、Aメロ・Bメロを含めた全てのパーツに良いメロディを与えることができ、こうした技法を取り入れることがあります。
転調を場面チェンジに用いるのではなく、聴き手に刺激を与え続けることで、常にハッピーでいられるような曲に仕上がっています。
(5)奏/スキマスイッチ
転調が効果的な5つ目のJPOPおすすめ曲は、スキマスイッチの『奏』です。
この曲での転調は、間奏の次のCメロ後のサビから、それまでのB♭からD♭へ、短三度上への転調をしています。
Cメロ部分で双方のキーの共通音であるFの音を多用することで、唐突感のないスムーズな転調になっています。
この曲で用いているテクニックは転調を用いる曲作りの際、転調先のキーの選定、そこに至るメロディの工夫において参考になる楽曲です。
(6)Hello, Again ~昔からある場所~/My Little Lover
転調が効果的な6つ目のJPOPおすすめ曲は、My Little Loverの『Hello, Again ~昔からある場所~』です。
この曲の転調部分はBメロからサビですが、印象的かつ心を揺り動かされる仕上がりになっています。
Aメロ、BメロはEメジャーで構成されていますが、BメロにGを基本とする音が出てきます。
このG音は通常Eメジャーでは使われることのない音ですが、あえて不安定な音を出すことによってBメロの歌詞と合わせて主人公の不安な心情を表しています。
さらに、サビ前でもう一度「G音」を出すことで聴き手の不安を最高値まで煽ってその後転調、かつサビの始まりの音に「G音」を持ってきて、一気に音楽的不安を解決しています。
Bメロで伏線を散りばめておきサビで一気に回収する方法は作曲家の小林武史ならではのテクニックで、計算し尽くされた名曲と言えるでしょう。
まとめ
この記事では、転調に関する目的や効果などの基礎知識、転調が効果的なJPOPおすすめ6曲を紹介しました。
転調が心地良い曲を聴き比べてみると、一口に転調と言っても色々なパターン、多様な効果があることが理解できたのではないでしょうか。
バンドでオリジナル曲に挑戦したいと考えているなら、転調のテクニックを習得して聴き手を魅了する曲を作ってくださいね!