「編曲と作曲では何が違うの?」
「編曲では具体的に何をしているの?」
楽曲制作を始めた人の中には、編曲について詳しく知らない人が多いのではないでしょうか。
楽曲制作では作詞や作曲が注目されがちですが、実は曲の質を高めるためには編曲が特に大事な工程なのです!
本記事では、編曲の意味や具体的な作業内容、主な流れについて紹介します。
最後には、編曲に役立つ知識やスキルも紹介するので、編曲に挑戦しようと考えている人はこの記事を読んで、作業の参考にしてみてください!
目次
1.編曲の意味とは
編曲は人によって作業範囲が異なりますが、一般的にはメロディ(主旋律)以外の音を作ることです。
作曲と混同する人もいますが、作曲はボーカルが歌うメロディ部分を作ることを言います。
編曲は作曲とは異なり、メロディ部分が出来ている曲にさまざまな音を付け加えて曲を仕上げる工程と認識しましょう。
たとえば、一番最初に聞くイントロやメロディと同時に聞こえる伴奏が編曲によって追加されたものです。
一般的には、作曲と編曲を兼任することが多いですが、編曲を専門に活動している人もいます。
近年はアプリを使って編曲をするのが主流なので、ハードルが高く感じるかもしれませんが、音楽初心者でも編曲を行うことができますよ!
なお、以下の記事で編曲のアプリを紹介しているので、あわせてご覧ください。
2.編曲でやっている3つのこと
編曲ではどのようなことをしているのかを紹介します。
大きな作業内容は以下の3つです。
順に紹介するので、自分が編曲作業をしているイメージをしてみてください。
(1)テンポやキーを決めて曲調を整える
編曲ではテンポやキーを決めて曲調を整えます。
すでに作曲段階で曲のジャンルが決まっているはずなので、まず曲のテーマによって曲調を決めるのが一般的です。
たとえば、バラードやクラシックの場合は使う音源を少なくして緩やかなテンポにしたり、ロックの場合は使う音源を多くして複雑なコード進行を作ったりします。
作曲者と異なる人が編曲を行う場合は、基本的に作曲者かプロデューサーの意向に沿う形になるので、曲の仕上がりのイメージを共有するために、しっかり話合いをしておきましょう。
(2)ハーモニーを変えて曲の雰囲気を作る
ハーモニーを変えて曲の雰囲気を作るのも編曲の作業の1つです。
複数の音を組み合わせることをハーモニーと言いますが、使う音によって曲の雰囲気を変えることができます。
たとえば、ピアノとヴァイオリンのハーモニーによって透明感のある心地よい曲にすることができますし、オーケストラ音源を加えることで重厚感のある壮大な曲に変えることも可能です。
同じメロディラインでもハーモニーを変えることによって、ウキウキするような楽しいポップな曲になったり、どこか切なくて悲しみをまとった曲になったりすることを頭に入れておきましょう。
ハーモニー作りが編曲のメインですが、作曲者のイメージに合わせて作ることになるので、ある程度アイデアの制限はあります。
しかし、自分のアイデアによって曲のクオリティを向上させることができるので、やりがいのある作業ですよ!
(3)使う楽器を決める
使う楽器を決めるのも編曲の重要な工程です。
同じメロディやハーモニーを奏でても、楽器の音が違うだけで聞き手に与える印象が異なります。
ギターやドラムなどのバンド楽器をメインにすればロックテイストの曲に、ピアノやオーケストラの音源を使えばバラード調の曲にすることが可能です。
楽器にも相性があるので、どの楽器を使うかは編曲者の経験やセンスが問われるでしょう。
3.編曲作業の主な4つのステップ
編曲の主な流れについて紹介します。
作曲後の編曲の流れは以下の通りです。
順に紹介するので、編曲の流れを把握しましょう。
なお、以下の記事で編曲のやり方について詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。
(1)ドラムパートを作る
編曲の作業で一番最初に取り掛かるのはドラムパート作りです。
ドラムパートは曲のリズムにあたり、リズム作りは前述した曲のテンポを決める作業に該当します。
先にドラムパートを作ることで、曲全体の流れを把握しやすくなるため、仕上がり後のイメージがしやすくなるメリットがあるのです。
曲のイメージが明確になると、曲の雰囲気作り(コード作り)の作業が楽になるので、まずは曲のリズムパートを作りこみましょう。
(2)コード進行を作る
ドラムパートの次は、楽器パートのコード進行を組んで曲の雰囲気を作っていきます。
複数の音を同時に鳴らして生まれる音をコードといい、コード進行(コードの展開)によって曲の雰囲気が変わるため、一般的には、作曲者がメロディ作りと平行してコード進行を作ることが多いです。
もし、自分が作曲と兼任する場合は、曲の完成形がイメージしやすいように細かくコード進行を作ることをおすすめします。
各パートの譜面を作るときはコード間ごとに演奏部分を考えるですが、コードの展開が少ないとコード間の時間が長くなるので、演奏アレンジの幅が広くなりすぎて悩む頻度が多くなりがちです。
たとえば、10秒ごとにコードを展開させた場合、10秒間の演奏部分を考えなければなりません。
しかし、5秒ごとにコードを展開させれば5秒間の演奏部分を考えればよいので、10秒間のときに比べてアレンジの幅が狭くなり、アイデアが思い浮かびやすくなります。
細かくコードを展開させた方が、コード間の演奏部分のアレンジがシンプルになりやすいので、楽器パートが作りやすくなるのです。
なお、コード進行を作るときは、使う楽器の候補を同時に決めておきましょう。
初めてコード進行を作る人は、なかなかアイデアが思い浮かばないかもしれないので、そのときは既存の曲のコード進行をそのまま真似してみてください。
コード進行には著作権がないので、曲のテーマに近い既存曲を探して作業の参考にしましょう。
以下の記事でコードについてまとめているので、コード進行に関する知識を補いたい人はあわせてご覧ください。
(3)残りの楽器パートの肉付けをする
完成したコード進行に合わせて残りの楽器パートを作っていきます。
使用楽器が多ければ曲のパート分けが大変なので、初心者の場合は、負担を減らすために使う楽器は少ない方がよいでしょう。
メロディとは異なり音の流れをイメージしにくいため、楽器パートを作るのは難しいです。
アイデアが浮かばなければ、コード進行と同様に、既存曲を参考にして楽器パートを作っていきましょう。
(4)各パートをミックスして曲のバランスを整える
全ての楽器パートが完成したら、ミックスして曲のバランスを整えます。
ミックスとは各パートを合成して、楽器の音量や音色などを調整することです。
ミックスすることで、楽器単独では気づかない音量や音程のズレを調節することができるため、曲の質を向上させることができます。
編曲の最終工程なので、モニターヘッドホンやモニタースピーカーを使って、音の違和感がないか確認しましょう。
4.編曲に役立つ知識やスキル
編曲をするときに役立つ知識やスキルを紹介します。
以下のような知識やスキルを兼ね備えていれば、編曲にも役立つでしょう。
- 音楽のジャンルやアンサンブル(重奏)の構成を把握している
- メロディ部分を引き立てる音の組み合わせが分かる
- 楽器の奏法や音色、音域を把握している
- 楽曲を聴いただけで演奏部分を譜面に書き換えられる
- パソコンのアプリケーションを使える
特に編曲では音楽や楽器の知識が必要です。
楽器の相性やコードに関する知識、楽器の演奏スキルなどを持っていると、ハーモニー作りが楽になりますよ!
時間に余裕があれば、無知の状態で編曲に取り掛かるのではなく、しっかり準備をしてから作業に取り掛かりましょう。
なお、以下の記事で編曲家の仕事内容や編曲家になるための方法についてまとめているので、あわせてご覧ください。
まとめ
編曲は主旋律以外のパートを作ることで、主に曲調を整えたり曲の雰囲気を作ったりします。
アプリで簡単に作業をすることができますが、作曲とは異なり、編曲では必要とされる音楽の知識が多いです。
そのため、楽器の相性などの知識や楽器の演奏スキルをある程度身につけてから挑戦しましょう。
なお、自分での編曲が難しいと感じた人や早急に曲を完成させたい人は、編曲を依頼することも有効です。
以下の記事に、編曲を依頼する方法についてまとめているのであわせてご覧ください。