マスタリングのやり方5ステップ!出来を良くするための3つのコツ

「マスタリングって何をするの?」
「マスタリングをするコツってあるの?」

楽曲制作に携わっている人の中には、マスタリングが何なのか理解できていない人も多いのではないでしょうか。

音源制作の仕上げで行う作業ですが、実はやり方やコツさえ把握すれば初心者でもマスタリングをすることが可能です!

本記事では、マスタリングの目的ややり方、コツを紹介します。

この記事を読むと、マスタリングの知識を深め、音源制作の仕上げをすることができますよ!

なお、編曲のやり方などを以下の記事でまとめているので、あわせてご覧ください。

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2020.06.25

1.マスタリングとは

マスタリングとは

マスタリングとは、複数の楽曲を1つの音源にまとめる作業のことです。

複数の楽曲を1つの音源にまとめる際に、連続して聴いても違和感なく自然な流れで曲がつながるように、各楽曲の音量や音質、フェードイン・アウト(曲の始めに徐々に音量を上げたり、曲の終わりに徐々に音量を下げたりすること)を調整します。

一般的に、1つの音源にまとめたときに聴こえ方のバラつきをなくす意味で使われることが多いですが、各楽曲の調整だけでなく、前の曲の音をフェードアウトさせながら次の曲の音をフェードインさせるクロスフェードや曲の順番決めもマスタリングの主な作業です。

調整内容や曲の構成によって曲全体のイメージが変わるため、マスタリングは楽曲制作の中でも特に重要といえます。

やりがいを感じながら楽曲制作に携わりたい人は、マスタリングに挑戦してみましょう!

2.マスタリングの3つの目的

マスタリングの3つの目的

マスタリングの目的を紹介します。

マスタリングの主な目的は以下の3つです。

  1. 複数の楽曲に統一感を持たせる
  2. ミックスダウンで満足のいかなかった曲を再調整する
  3. 曲のイメージを崩さずに1つの音源にまとめる

順に紹介するので、マスタリングの重要性を頭に入れておきましょう!

(1)複数の楽曲に統一感を持たせる

複数の楽曲に統一感を持たせる

複数の楽曲に統一感を持たせるためにマスタリングが重要です。

複数の楽曲を1つにまとめて連続して聴くことで、曲ごとの音質や音量の違いが浮き彫りになります。

曲が終わったと同時に次の曲がいきなり流れたり、なかなか次の曲が始まらなかったりすると、聴いている人はビックリするでしょう。

また、心地よく聴いていたのに、次の曲が流れると音量が小さくなったり大きくなったりすれば、曲が変わるたびに音量を調節しなければならないので、音楽を聴くことがストレスになります。

楽曲単体ではミックスダウン(各音声トラックを合成して作品に仕上げる工程)で終わりですが、複数楽曲をまとめた作品を作る場合は、聴き手が気持ちよく音楽を聴けるように各楽曲をバランスよく調整しましょう!

(2)ミックスダウンで満足のいかなかった曲を再調整する

ミックスダウンで満足のいかなかった曲を再調整する

ミックスダウンに納得がいかなかった楽曲を再調整することもマスタリングの目的の1つです。

楽曲ごとにミックスダウンを行い1つの作品として仕上げるのですが、その調整に納得いかない場合に、音量や音質などの再調整を兼ねてマスタリングします。

マスタリングでは聴く人のことを頭に入れた上で調整するので、ミックスダウンよりも調整の具合が細いです。

イヤホンとヘッドホンでは聴こえ方が違いますし、スマホやパソコンのスピーカーで聴けばなおさら音質に差が出ます。

聴き手がどのような環境下で楽曲を聴いても、なるべく音質に違いが生まれないように微調整するので、ミックスダウンでできなかった調整をマスタリングでカバーすることができるのです。

マスタリングは完成度の高い楽曲を制作するための最後の総仕上げと認識しておきましょう!

(3)曲のイメージを崩さずに1つの音源にまとめる

曲のイメージを崩さずに1つの音源にまとめる

マスタリングには各楽曲のイメージを壊さずに1つの音源にまとめる役割があります。

複数の楽曲をまとめるので統一感を出す必要はありますが、楽曲ごとにテーマやメッセージがあるので、曲のイメージを壊してしまうと楽曲としてクオリティが下がってしまいます。

マスタリングは音量や音質を調整するだけではなく、1つの作品としての構成を考えるのも主な作業です。

たとえば、序盤から中盤にかけてアップテンポの曲、中盤から終盤にかけてバラードなどしっとりした曲を持ってくることで、自然な流れで曲を聴くことができます。

楽曲を調整せずに順番を工夫するだけでも聴こえ方は変わるので、1つの音源にまとめるためにミックスダウンで仕上げた楽曲を闇雲に崩すのではなく、各楽曲の特徴を活かせる曲順や曲間を意識しましょう!

3.マスタリングのやり方5ステップ

マスタリングのやり方5ステップ

マスタリングのやり方を紹介します。

マスタリングの主な流れは以下の通りです。

  1. 各トラックを2mixデータにする
  2. プラグインをインストールする
  3. 音圧や音質を調整して統一感を出す
  4. コンセプトに沿って曲順と曲間を調整する
  5. DDPデータを作成する

順に紹介するので、この流れに沿ってマスタリングに挑戦してみてください!

なお、マスタリングをするために必要な作曲ツールを以下の記事で紹介しているので、あわせてご覧ください。

初心者におすすめの楽曲制作ソフトとは?無料と有料で6つ紹介!

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(1)各トラックを2mixデータにする

各トラックを2mixデータにする

マスタリングに移る前に、各楽曲を2mixデータにしましょう。

2mixとは楽曲をステレオ音源(右と左で聴こえ方が違う音源)にすることで、左右の聴こえ方の違いから立体感を出すことができます。

オーディオ機器ごとに聴こえ方を調整しなければならないので、1つの音源で流れる楽曲(モノラル)より、2つの音源を組み合わせて流れる楽曲(ステレオ)の方が微調整しやすいのです。

CUBASEなどの作曲ソフトを使えば簡単に2mixにすることができるので、マスタリングの準備をしましょう!

(2)プラグインをインストールする

プラグインをインストールする

2mixが終わったら、音質を調整するためのプラグインをインストールしましょう。

マスタリングに役立つプラグインの中では、音圧を数値化して音量を視覚化できるRMSメーターや音質調整に役立つスペクトラムアナライザーのプラグインをおすすめします。

RMSメーターは作曲ソフトに組み込まれていることが多く、スペクトラムアナライザーは無料で手に入れることが可能です。

特に、スペクトラムアナライザーのプラグイン「Voxengo SPAN」は無料にもかかわらず、反応が早く機能性が豊富なのでおすすめです。

マスタリング経験が豊富な人は自分の耳の感覚を頼りに調整できるかもしれませんが、音楽初心者がいきなり自分の感覚だけで微調整するのはハードルが高いです。

ツールを効果的に活用して、未経験な分をカバーしましょう!

(3)音圧や音質を調整して統一感を出す

音圧や音質を調整して統一感を出す

マスタリングの準備ができたら、各楽曲に統一感が出るように調整します。

RMSメーターやスペクトラムアナライザーで楽曲ごとの音圧や音質を確認し、どのくらいズレが生じているのか把握しましょう。

1つの音源にまとめたときに、音圧や音質の差があれば大きなズレがなくなるように設定します。

数値を見てもどのくらい音圧や音質に差があるのか分からない人には、iZotope社の「Ozone」というプラグインがおすすめです。

「Ozone」を活用すれば、トラックアシスタント機能で音圧や音質を自動で調整してくれるので、音楽未経験でも簡単に各楽曲のバランスを整えることができます。

音源を一通り流して聴いたときに、聴こえ方に違和感がないように調整しましょう!

(4)コンセプトに沿って曲順と曲間を調整する

コンセプトに沿って曲順と曲間を調整する

各楽曲の聴こえ方の調整をしたら、コンセプトに沿って曲の順番と曲間の時間を調整します。

たとえば、聴き手に元気を与えるための作品にする場合は、序盤はポップミュージックから入り聴き手に興味を持たせ、徐々にアップテンポの曲にすることで聴き手のテンションを上げていき、最後にバラード調の曲で落ち着きを取り戻させるなどの曲順が効果的です。

元気づけるための作品だからといっていきなりロック調の楽曲にすれば、インパクトの方が強くなってしまい上手く曲のメッセージを伝えられません。

また、曲間の無音の時間によって聴き手は曲の切り替えができるので、曲間の調整も重要です。

アップテンポな曲から次に行く間の無音は短く、バラードの曲から次に行く間の無音は少し長くすることで、テンポよく曲を聴いたり曲の余韻に浸ることができます。

マスタリングをするときはコンセプトを決めて、どのような曲順にすればコンセプト通りになるか考えましょう!

(5)DDPデータを作成する

DDPデータを作成する

マスタリング後にCDの作成を考えている場合は、DDPデータの作成までしておくことをおすすめします。

DDPデータとはCDプレス用のデータファイルのことで、CDを大量生産するときに必要です。

DDPデータをCDプレス工場に提出すれば、マスタリングした音源の音量や音質をそのままCDに移すことができるので、完成したCDの出来も期待できます。

DDPデータはStudio Oneなどのソフトを使えば作成できるので、CD作成を検討している人はDDPデータを作成しておきましょう!

4.マスタリングの3つのコツ

マスタリングの3つのコツ

マスタリングのコツを紹介します。

今回紹介するマスタリングのコツは以下の3つです。

  1. 音圧を少しずつ上げる
  2. プリセット音源を無理に使わない
  3. 楽曲間に無音時間を作る

順に紹介するので、マスタリングに取り組む際の参考にしてみてください!

なお、編曲作業全体のコツは以下の記事にまとめているので、あわせてご覧ください。

作業が停滞しがちな人の特徴とは?音楽初心者が編曲をする3つのコツ

2020.06.30

(1)音圧を少しずつ上げる

音圧を少しずつ上げる

音圧を調整するときは、少しずつ上げましょう。

音圧が高い状態からスタートすると他の音とのバランスを取りづらくなったり、ノイズに気づきにくくなったりするので、音圧を調整するときは低い状態からスタートするのが鉄則です。

音圧を調整するときは、一度に数値を上げるのではなく少しずつ微調整しましょう!

(2)プリセット音源を無理に使わない

プリセット音源を無理に使わない

作曲ソフトに搭載されているプリセット音源を無理に使わないことが重要です。

すでに1つの楽曲として完成されているので、よほどコンセプトに合わない限り、曲の作り自体に手を加える必要はありません。

プリセット音源を加えて楽曲そのものを変えてしまえば、曲のイメージやメッセージ性がぶれる可能性があるので、初心者の内は無暗に曲をいじらない方が無難です。

作曲ソフトには高品質のプリセット音源が入っているのでつい使いたくなるかもしれませんが、楽曲そのものを変えるよりも、曲順など他の方法でコンセプトに沿った音源にすることを意識しましょう!

(3)楽曲間に無音時間を作る

楽曲間に無音時間を作る

楽曲間の時間を調整するときは、曲の余韻をイメージしましょう。

楽曲の頭部分が前の曲と重なって切れないようにするために、曲間には0.2~0.5秒前後の無音部分を入れることが一般的です。

楽曲によって適切な曲間は異なるので、何度も聴き返して、曲と曲のつながりに違和感がないか感覚で確かめる必要があります。

曲に集中しているときや何か作業をしているときなど、さまざまな状況を試してしっくりくる無音時間を見つけましょう!

まとめ

マスタリングでは、ただ各楽曲の音量や音質を調整するだけでなく、コンセプトに沿って楽曲のイメージを壊さないようにまとめる必要があります。

また、楽曲のミックスダウンで納得がいかなかった部分を再調整することもマスタリングの主な作業です。

マスタリングをするときは、まず各楽曲を2mixデータにしプラグインを用意した後に、コンセプトや統一感を意識して調整しましょう。

今回紹介した3つのコツを意識しながら、クオリティの高い作品を目指してマスタリングに挑戦してみてください!

なお、自分でマスタリングをするのが難しいと感じた人は、音楽家や制作会社に依頼することも有効です。

以下の記事にマスタリングを含む編曲作業を依頼する流れを紹介しているので、あわせてご覧ください。

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