「耳コピって具体的には何をするの?」
「音楽初心者が耳コピをするためのコツは何があるの?」
「耳コピ」というワードは聞いたことがあっても、具体的に何を意味するのか理解していない人も多いのではないでしょうか。
耳コピとは実際に聴いた曲を自分で再現することですが、実は音楽初心者でもコツを把握すればできるようになるのです!
本記事では、耳コピの詳細や耳コピをするメリット、やり方を紹介します。
耳コピをするコツにも触れるので、この記事を読めば、聴いた曲を自分で表現できるようになりますよ!
目次
1.耳コピとは
耳コピとは、実際に聴いた音を自分で楽器を使って再現することです。
耳コピをするためには、聴いた音を脳内でスコアに写して、実際に音を表現する楽器の演奏スキルが求められます。
そのため、耳コピの練習をすることで、脳内の音を表現するための音感やリズム感を養うことができるのです。
また、完成された曲を真似することから経験や知識が蓄積されるので、耳コピは音楽の上達に欠かせないと言えます。
2.耳コピの3つメリット
耳コピをするメリットを紹介します。
耳コピをするメリットは以下の3つです。
順に紹介するので、耳コピへのモチベーションを高めましょう!
(1)想像力が豊かになる
耳コピの練習をすることで想像力が豊かになります。
聴いた音がどのように構成されているのかを考え、想像を膨らませて音を再現するのが耳コピの作業です。
実際の譜面を見て演奏するわけではなく、耳で聴いた音を参考に譜面を想像しながら再現するので、自然と想像力が培われます。
また、音を完全に再現するためには、音色や高揚感を意味するグルーヴが何なのかまで想像する必要があるので、完全再現ができるようになれば、経験の蓄積によりアレンジ力も培うことが可能です。
耳コピでは譜面でも分からないことまで意識する必要があるので、譜面を参考に練習するよりも表現力が豊かになりますよ!
(2)スコア代を節約できる
耳コピができるようになると、譜面を用意する必要がなくなるので譜面代(スコア代)を節約することが可能です。
インターネットで譜面を揃えることもできますが、印刷する環境が整っていない人は印刷代がかかってしまいます。
また、印刷するためにコンビニなどに行かなければなりません。
耳コピができれば、譜面を用意するためにかかる時間やお金を節約できますよ!
(3)音楽制作スキルが上達する
音楽制作スキルが上達することもメリットの1つです。
完成された曲を自分の頭の中で再構成し様々な音を補完しながら演奏するので、音楽制作に通じる部分があります。
オリジナル楽曲を制作するときはアレンジ力や演奏スキルが求められるので、耳コピで楽曲再現ができるようになると、コード進行やメロディ、楽器パート作りで経験を活かしたアイデアが生まれやすくなりますよ!
楽曲制作の挑戦を検討している人は、効率良く作業を進めるために耳コピで楽曲制作スキルを向上させておきましょう!
3.耳コピのやり方6ステップ
耳コピのやり方を紹介します。
主な耳コピのやり方は以下の通りです。
順に紹介するので、流れに沿って挑戦してみてください。
なお、以下の記事で具体的に耳コピの方法を紹介しているので、あわせてご覧ください。
(1)音源を聴く
まずは音源を聴いて、実際にどのような音が流れているのか把握します。
音源を再現するためには、以下の項目をチェックしてください。
- どんな楽器が使われているか
- いくつの音が重なっているのか
- メロディ音はどのような流れか
初めから一度で聴きとるのは難しいので、何度も繰り返し聞き込みましょう!
(2)聴き取れた音を音名にする
聞き取れた音を音名にしていきます。
曲の最初から完璧に音名にしようとするとなかなか作業が進まないので、曲の最初から最後まで順に音名にする必要はなく、初めは聞き取れた部分だけでかまいません。
はっきり聞き取りやすい音はボーカルの声で、曲の盛り上がり部分のサビから音名にするのがおすすめです。
二小節から四小節ほどの短いメロディで区切れば、集中できるので聴き取りやすくなります。
初めは聴き取れなかった音でも、判明している部分の音を参考に楽器で演奏していく内に、音名が分かるようになるので少しずつ作業を進めましょう!
なお、メロディを音名にできない場合は、伴奏やベースの音に注目して聴き比べると実音が見えてきますよ。
(3)メジャースケールの判別をする
音名が明らかになったら、メロディのメジャースケールを判別しましょう。
メジャースケールとはキーと呼ばれるもので、キーによって「ドレミファソラシ」と聞こえる音の構成が変わります。
たとえば、メジャースケールがGのときは「ソラシドレミファ♯」と弾くことで「ドレミファソラシ」と聴こえるのです。
メロディで使われている音名がどのメジャースケールに所属しているのかでコードの動きを推測できるので、メジャースケールを特定する必要があります。
メジャースケールは、サビのメロディの音名がどのメジャースケールに所属しているのか見て判別します。
仮に、サビのメロディの音名が「ミシラーラ、ド♯ーソファ♯、ラシーシド♯」であったとすると、以下のメジャースケール一覧の表から、「この楽曲はDスケールに所属しているのではないか」と推測することができます。
スケール | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | Ⅴ | Ⅵ | Ⅶ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
C | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ |
D | レ | ミ | ファ♯ | ソ | ラ | シ | ド♯ |
E | ミ | ファ♯ | ソ♯ | ラ | シ | ド♯ | レ♯ |
F | ファ | ソ | ラ | シ♭ | ド | レ | ミ |
G | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ♯ |
A | ラ | シ | ド♯ | レ | ミ | ファ♯ | ソ♯ |
B | シ | ド♯ | レ♯ | ミ | ファ♯ | ソ♯ | ラ♯ |
メジャースケールを推測するときは、以下のポイントに気を付けてください。
- 使用頻度が高い音
- 伸ばしている音
- アクセントの強い音
中にはメジャースケールを無視して作曲されているものもあるので、全ての曲が必ずしもメジャースケールを判別できるわけではありません。
例外的な音は一旦置いておき、メロディで使われている音名が一番該当するメジャースケールで作業を進めましょう!
(4)ダイアトニックコードを判明する
ダイアトニックコードを判明しましょう。
ダイアトニックコードとは、キーとなるコードを基点として「ドレミファソラシ」と聴こえる7つのコードで構成されたグループのことで、曲のコード進行にはダイアトニックコードが使われるのが一般的です。
推定したメジャースケールからダイアトニックコードを割り出し、定番のコード進行の動きを導き出しましょう。
メジャーなダイアトニックコードの表は以下の通りです。
キーコード | Ⅰ | Ⅱm | Ⅲm | Ⅳ | Ⅴ | Ⅵm | Ⅶm(♭5) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
C(ド) | C | Dm | Em | F | G | Am | Bm(♭5) |
D(レ) | D | Em | F♯m | G | A | Bm | C♯m(♭5) |
E(ミ) | E | F♯m | G♯m | A | B | C♯m | D♯m(♭5) |
F(ファ) | F | Gm | Am | B♭ | C | Dm | Em(♭5) |
G(ソ) | G | Am | Bm | C | D | Em | F♯m(♭5) |
A(ラ) | A | Bm | C♯m | D | E | F♯m | G♯m(♭5) |
B(シ) | B | C♯m | D♯m | E | F♯ | G♯m | A♯m(♭5) |
ダイアトニックコード内で定番のコード進行と言えば、主和音のコード(Ⅰ)やメジャーコードが多い(Ⅳ・Ⅴ)を使った動きです。
どのようなコードの動きが考えられるか、いくつかパターンを出しておきましょう!
(5)コードを演奏し音源と照らし合わせる
コード進行のパターンを実際に音源に合わせて演奏してみましょう。
音源に違和感なく響き合えば判別したメジャースケールが正しいと言えます。
コード進行を合わせるときは、以下の方法を試してみてください。
- サビの終わりなど曲が落ち着く終止部分で(Ⅰ)のコードを弾く
- サビの直前で(Ⅳ)→(Ⅴ)、(Ⅱ)→(Ⅴ)のような音程が上がるコードを弾く
音源からコードを予測することが本作業なので、この作業ができるようになると耳コピ習得に近づいていますよ!
(6)ベースラインや伴奏からコードを特定する
最後に、ベースラインや伴奏のコードを特定しましょう。
ダイアトニックコードには、CやGなどのメジャーコードだけでなくAmやF♯mなどのマイナーコードがあります。
特定したメジャースケールのダイアトニックコードに特殊コードが含まれていれば、ベースラインや伴奏で使われている音を書き換えていきましょう。
たとえば、メジャースケールがAでCのベース音があった場合、ダイアトニックコードの表からC音のコードはC♯mと特定します。
仮に、特定したコードで音源との響きに違和感を感じたら、以下のように対処してください。
- セブンスを付ける(C♯m→C♯m7にする)
- メジャーとマイナーを切り替える(C♯m→C♯にする)
- ♯や♭をつける/消す(C♯m→Cm)
上記の方法でも違和感を取り除けない場合は、別の音のコードが使われていることがあるので、近い音名のコードを試して心地がよいコードを特定していきましょう。
4.耳コピの4つのコツ
耳コピのコツを紹介します。
今回紹介する耳コピのコツは以下の4つです。
順に紹介するので、耳コピをするときの参考にしてください。
なお、以下の記事で具体的に説明しているので、あわせてご覧ください。
(1)ダイアトニックコードを耳で覚える
ダイアトニックコードを耳で覚えると、コードの特定がスムーズになります。
基本的にダイアトニックコードを使って作曲することが多いです。
耳でダイアトニックコードの音を覚えておくと、音源を聴いたときにどの音が使われているのか推測しやすくなりますよ。
コードの特定は時間がかかるので、少しでも時間を短縮できるようにダイアトニックコードを覚えましょう!
(2)定番のコード進行を覚える
定番のコード進行を覚えておくこともおすすめです。
コード進行が同じ曲は数多いので、コードの動きを特定しやすくなります。
- カノン進行:C→G→Am→Em→F→C→F→G
- 王道進行:F→G→Em→Am
- 小室進行:Am→F→G→C
定番のコード進行を覚えて、メジャースケールごとにしっくりくるコードの動きを推測しやすくしましょう!
(3)歌のメロディからコピーする
歌のメロディ部分からコピーするのが定番です。
歌のメロディは単音になっているので、音名の特定がしやすい傾向があります。
メロディ部分が分かれば、メジャースケールの特定が早くなるので、作業スピードを早めることが可能です。
何から手を付ければよいか分からない人は、単音から音を拾っていきましょう!
(4)単音のベースを聴き取ることに集中する
メロディ以外の音を拾うときも、単音のベースから聴き取ることに集中しましょう。
ベースは基本的にコードの一番低い音(ルート)を弾くことが多いので、ベースの音を拾っていくとメジャースケールの特定がしやすくなります。
ベースがルートを弾いていないこともありますが、ヒントがない状態から始めるより目安となる楽器から作業に取り掛かった方が効率良く作業をすることが可能です。
慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、初心者でも比較的聴き取りやすい単音のベースを先に拾っていきましょう!
まとめ
耳コピをすることで音感やリズム感を養うことができ、楽曲制作スキルの向上につながります。
耳コピは音源を聴くことから始まり、音名やメジャースケール、コードの特定など、さまざまな段階を踏んで行うので、初心者にとってはいきなり完璧にコピーするのはハードルが高いかもしれません。
もし作業が停滞してきたら、今回紹介した4つのコツを参考に、最後まであきらめずに確実にステップを進めましょう!
なお、以下の記事で耳コピに役立つアプリを紹介しているので、あわせてご覧ください。