「パラデータとはどのような意味?」
「パラデータで納品する場合にはどのような点に気を付ければいいの?」
作曲家や編曲家の方の中には、クライアントからパラデータでの納品を求められてこのような疑問を持ったことのある方もいるのではないでしょうか。
パラデータとは、すべての楽器をばらばらに書き出すデータ形式のことで、作成にあたっては、データを受け取ったレコ-ディングエンジニアが次の作業をしやすくなるようにいくつかのポイントや注意事項に気を付けることが大切です。
今回の記事では、パラデータの概要を紹介するとともに、パラデータ作成時に気を付けたい4つのポイントやパラデータ作成時の2つの注意点についても解説します。
この記事を読んでパラデータについて正しく理解し、クライアントの意向に沿ったデータを作成してください!
目次
1.パラデータとは
パラデータとは、ギター・ベース・シンセサイザーなどすべての楽器のデータをばらばらに書き出すデータ形式のことで、マルチデータとも呼ばれます。
曲作りの過程で、作曲家が作り編曲家がアレンジした曲のデータをレコーディングエンジニアに引き渡す際に、このパラデータという形式が使われることがあります。
パラデータはその後のミックス・マスタリング作業のベースとして使われるデータとなるため、このデータの精度が最終的な曲のクオリティにも大きくかかわっていきます。
せっかく作曲した曲が完成時に雑で低品質な作品となることのないよう、レコーディングエンジニアが使いやすい形式で精度の高いパラデータを作って渡すことが重要なのです。
このように、パラデータとはすべての楽器のデータをばらばらに書き出すデータ形式のことを指し、正確なデータをレコーディングエンジニアに引き継ぐことで高品質の曲が仕上がります。
2.パラデータ作成時の4つのポイント
次に、パラデータを作成する際に気を付けたいポイントを以下の4点紹介します。
- エフェクトをはずす
- ドラムをばらす
- PANを真ん中に戻す
- トラック名をわかりやすい形にする
順番に説明します。
ポイント1.エフェクトをはずす
パラデータ作成時のポイントの1つ目に、エフェクトをはずす点が挙げられます。
パラデータはあくまでベースのデータであり、そこから加工を行うのはエンジニアの仕事です。
そのため、エンジニアが作業をしやすいように、基本的にはディレイやリバーブ、EQ、コンプレッサーなどのエフェクトを外し、なるべく素の状態のデータを渡しましょう。
音色を作るためのエフェクトなど、エフェクトをかけた方が親切であったり意図が伝わりやすいと思われるものがあれば、あらかじめクライアントの意向を確認し、その指示に合わせて対応するのがよいでしょう。
このように、パラデータは基本的にエフェクトをはずして素の状態のデータを納品した方が、その後のエンジニアが仕事を進めやすくなりおすすめです。
ポイント2.ドラムをばらす
パラデータ作成時のポイントの2つ目に、ドラムをばらす点が挙げられます。
ドラムは全体で1つの楽器とみなすのではなく、キック・スネア・シンバル・ダム・ハットというようにそれぞれの音ごとにデータをばらす必要があります。
ちなみに、最近ではドラムのプラグインの機能として自動的にバラバラの音を吐き出せるものもありますのでお手持ちのソフトが対応しているか確認してみましょう。
このように、パラデータは楽器ごとのデータを吐き出しますが、特にドラムはその中でもキック・スネアなどの音ごとにさらにデータを分ける点に注意が必要です。
ポイント3.パンを真ん中に戻す
パラデータ作成時のポイントの3つ目に、パンを真ん中に戻す点が挙げられます。
パンが偏っているデータだと、次のエンジニアの作業が非常にしづらくなるからです。
もしもパンニングがある場合には、パンの情報をファイル名の最後に書いておくとよいでしょう。
(例 ハイハットの場合、HH_L・HH_Rなど)
このように記載しておくことで、パンニングが想定と異なってしまう事態を防ぐことができます。
このように、パラデータを作成する際はパンを真ん中に戻しておき、必要に応じてパン情報をファイル名に記載しましょう。
ポイント4.トラック名をわかりやすい形にする
パラデータ作成時のポイントの4つ目に、トラック名をエンジニアにとってわかりやすい形にする点が挙げられます。
パラデータで送る際には非常に多くのトラックを一度に送ることになるため、エンジニアが一目でわかるファイル名に変換しておくと親切です。
例えば、ベースなら「Bass」、ピアノなら「Pf」、スネアなら「SD」などといった具合にファイル名を付け、開いてほしい順番があればさらに冒頭に数字を追加しておきましょう。
また、DAWの多くはファイル名の表示スペースが限られるため、なるべく簡潔な名前をつけることも大切です。
楽器名の前に使用している音源の名前等を長々記載してしまい、肝心の楽器名が表示されないという失敗例をよく見かけます。
音源名やシンセサイザーの種類など、エンジニアにとって不要な情報はなるべく削除し、簡潔な名前を心がけましょう。
このように、トラック名は後で作業するエンジニアに理解してもらいやすく簡潔な名前をつけることが大切です。
3.パラデータ作成時の2つの注意事項
最後に、パラデータ作成時の注意事項を以下の2点紹介します。
- パラデータ作成には工数がかかる
- 納品形態がクライアントによって異なる
順番に説明します。
注意1.パラデータ作成には工数がかかる
パラデータ作成時の注意事項の1つ目に、パラデータ作成には工数がかかる点が挙げられます。
作曲家や編曲家の方の中には、作曲や編曲が作業の中心であり、その作業のあとの納品時のファイル形式など些末な話だと思われる方もいるでしょう。
しかし、パラデータの作成はすべての楽器ごとにデータを分ける必要があるため、作業にはかなりの工数がかかり、データ量も膨大になります。
そのため、クライアントからの依頼を安請け合いしてしまうと思った以上に手間がかかり、納品期日までに間に合わなくなる可能性もあります。
最近では、パラデータでの納品に対しては別途費用を請求するケースも多くなってきているくらいです。
このように、パラデータ作成にはかなりの工数がかかることをあらかじめ意識し、必要となる手間や納期を見込んでおくよう注意しましょう。
注意2.納品形態がクライアントによって異なる
パラデータ作成時の注意事項の2つ目に、納品形態がクライアントによって異なる点が挙げられます。
パラデータのレートは44.1Hz、ビットは16bit/24bitあたりが一般的ですが、クライアントによって要件が異なります。
違ったレートやビットでデータを吐き出したあと、要件が異なった場合には一から作業し直しとなります。
すでに述べた通り、パラデータの作成には非常に膨大な手間と時間がかかりますので、手戻りのないようあらかじめ要件をクライアントに確認したうえで作業することを強くお勧めします。
このように、パラデータは納品形態にさまざまな種類があるため、作業前にクライアントに要件を確認し、手戻りが発生しないように注意しましょう。
まとめ
今回の記事では、パラデータの概要を紹介するとともに、パラデータ作成時の4つのポイントやパラデータ作成時の2つの注意点についても解説しました。
パラデータとは、すべての楽器をばらばらに書き出すデータ形式のことで、作成にあたっては、データを受け取ったレコ-ディングエンジニアが次の作業をしやすくなるようにいくつかのポイントや注意事項に気を付けることが大切です。
この記事を読んでパラデータについて正しく理解し、クライアントの意向に沿ったデータを作成してください!