「NFT音楽の著作権はどうなるの?」
「知らずにNFT音楽の著作権侵害をしていないか不安」
NFT音楽はデジタル音源と似ていますが、トークン自体に著作者情報を書き込める性質上、著作権保護に有効とされています。
しかし、NFTであっても著作権侵害される、またはしてしまう可能性があるんです。
この記事では音楽の著作権の概要とNFT音楽の著作権の考え方、よくあるトラブルと防止策を解説します。
NFT音楽の著作権について理解し、NFT音楽の著作権を守りながら活用しましょう!
NFT音楽の概要を理解したい方は、以下の記事も併せて読んでみてください。
目次
1.音楽の著作権とは
音楽の著作権についておさらいしましょう。
著作権の対象となるのは著作物です。
著作物とは、誰かが自分の気持ちや思いを作品として表現したものを言います。
この著作物を作った人を著作者と呼び、著作者に対して法律によって与えられる権利が著作権です。
著作権は厳密に言うと2つの権利に分けられます。
- 著作者人格権
- 著作権
著作者人格権は、さらに3つの権利に分けられます。
- 公表権…著作者が自身が制作した著作物を公開するかどうかを決める権利。また公開する場合の方法・タイミングなどを決められる権利。
- 氏名表示権…著作者が自身の作品を発表する際に、氏名を表示するかどうか、また表示する氏名を本名にするかどうか決められる権利。
- 同一性保持権…自分が制作した著作物のタイトルと内容を、第三者によって勝手に変えられないことを定めた権利
つまり著作者人格権では、著作者の許諾なしに作品を発表することが禁じられ、また氏名の公表・ペンネームでの発表なども自由に決められます。
また、著作者の許可なくその内容やタイトルが変えられることもありません。
次に著作権について解説します。
- 複製権…自身の作品をあらゆる方法で複製する権利。著作者のみが持つ権利。
- 上演権・演奏権…音楽などを人に直接聞かせる・見せる権利
- 上映権…映画作品などを人に見せる権利。DVDなどを含む
- 公衆送信権…テレビ・ラジオなどで自身の作品を送信する権利
- 公の伝達権…テレビ・ラジオ・有線放送・インターネットにおいて、著作物を伝達する権利
- 口述権…小説・詩など言語の著作物を朗読するなどして、人に聞かせる権利
- 展示権…アート作品・写真などを展示会で人に見せる権利
- 頒布権…劇場用の映画などに適用される権利。映画の著作権を販売したり、貸す権利
- 譲渡権…映画以外の著作物またはコピーを多くの人に販売するなどして提供できる権利
- 貸与権…映画以外の著作物またはコピーを多くの人に貸す権利
- 翻訳権・翻案権…著作物を用いて二次的著作物を作る権利
- 二次的著作物の利用権…著作物の原作から創作した二次的創作物の利用における権利
著作者は自身が制作した著作権を販売したり、貸与したり、譲渡できる権利を持ちます。
これによってアーティストたちが自分の楽曲を販売したり、ライブを行えるわけです。
2.NFT音楽における著作権の考え方
NFT音楽における著作権の考え方も知っておきましょう。
- NFT音楽を売っても所有権は譲渡されない
- 転売された場合も著作者情報は保持される
- NFT音楽の所有者はトークンの所有権を有する
- NFT音楽の転売は著作権侵害に当たらない
デジタル音源は著作権の侵害が問題となっていますが、NFTも同様なのでしょうか?
詳細を解説します。
(1)NFT音楽を売っても所有権は譲渡されない
NFT音楽を第三者に販売しても、その所有権が譲渡されるわけではありません。
NFT音楽を購入した人は”NFTの所有者”となります。
誰かにNFT音楽を売っても、著作者の名前がトークンから削除されるわけではありません。
(2)転売された場合も著作者情報は保持される
仮にNFT音楽が転売されて、所有者が変わっても著作者情報は変わりません。
トークンに著作者情報が記録されており、そのデータの改竄ができないからです。
作成したNFT音楽が購入者から別の第三者へ渡っても、著作者の権利は保持されます。
(3)NFT音楽の所有者はトークンの所有権を有する
NFT音楽を購入した人は、トークンの所有権という権利が与えられます。
所有権は「対象物を保有する権利」であり、著作権とは明確に違う権利です。
NFT音楽の所有権は譲渡可能で、これによってNFT音楽の転売が可能になります。
(4)NFT音楽の転売は著作権侵害に当たらない
NFT音楽の転売は著作権侵害には当たりません。
あくまで自身が持っている所有権の譲渡だからです。
NFT音楽の著作者が保有する権利は守られます。
NFT音楽を転売したとしても、著作権侵害には当たりません。
3.NFT音楽の著作権関連のトラブルになる事例
NFT音楽の著作権関連のトラブルになる事例を2つ紹介します。
- 購入者がNFT音楽を二次利用してしまう
- 他人の楽曲をNFT化して販売していた
NFTはトークン自体に著作者情報を書き込め、著作者の権利保護に有効とされていますが、以下の方法で権利侵害が起こり得るでしょう。
知らずに著作権侵害をしないために、また自分の権利を守るためにトラブル事例を覚えておいてください。
1つずつ説明します。
(1)購入者がNFT音楽を二次利用してしまう
NFT音楽を購入した人が、音源を元にした二次的創作物を制作してしまうことがあります。
著作者が二次的創作物の制作を禁じていたとしても、さまざまな方法で二次利用されることがあるでしょう。
例えば耳コピして自身が発信する動画のBGMとして利用するケースです。
NF音楽の購入者が保有するのはあくまで所有権ですが、その域を超えた利用で著作権トラブルになるケースがあります。
(2)他人の楽曲をNFT化して販売していた
NFT音楽を制作する段階で、自作ではなく他人の楽曲をNFT化して販売していることもあります。
既存の楽曲を録音してデジタル音源にし、NFTプラットフォームで販売すれば他人の楽曲をNFT化可能です。
しかし、他人の楽曲をNFT化した時点で著作権の侵害となっており、明らかに侵害行為。
NFT音楽を購入、作成する際は他人の楽曲を使っていないかどうかを改めて確認すべきでしょう。
4.NFT音楽の著作権トラブルを防ぐ方法
NFT音楽の著作権トラブルを防ぐ2つの方法を紹介します。
- 二次利用の範囲を決めておく
- 購入時は利用範囲を確認してから購入する
知らずに著作権の侵害をしないため、またされないためにも対策が必要です。
NFT音楽の著作権を守る方法を解説します。
(1)二次利用の範囲を決めておく
NFT音楽を作る際は、プラットフォームの設定上で二次利用の範囲を決めておきましょう。
利用範囲を定めておけば、購入者が利用のラインを知ることができ、著作権侵害されることを防げます。
例えば「報酬の発生しない個人利用は許可するが、収益目的の場合は許可しない」など、二次的利用の範囲を指定してください。
NFT音楽の購入者に対して著作者が譲渡する著作権の一部を示すことで、著作権侵害を防げるでしょう。
(2)購入時は利用範囲を確認してから購入する
NFT音楽を購入する際は、利用範囲をチェックしてから買うようにしましょう。
楽曲を購入してBGMとして利用したい場合は、二次的利用が許可されているものを選ぶべきです。
著作者の許諾なく二次利用すると、著作権侵害にあたり賠償金を請求される可能性があります。
NFT音楽を買う前に、自身の利用目的とNFT音楽で許可されている著作権の範囲を確認してください。
まとめ
NFT音楽と著作権は密接な関わりがあります。
mp3などの一般的なデジタル音源とは違いコピーはできませんが、二次利用で著作権侵害のトラブルは起こり得るでしょう。
NFT音楽を制作する際は著作権の侵害をしていないかを確認し、二次利用範囲を決めるなどの対策をしてください。
また、購入時も二次利用範囲を確認してトラブルを避けましょう。
NFT音楽の著作権について理解した上で、プレミアのつくNFT音楽を発表してください。