クリシェの種類と基本パターンを解説!クリシェが使用された有名なJPOP5曲

「クリシェとは一体何だろう?」
「クリシェはどんな曲に使用されているのか知りたい!」

作曲活動を始めたばかりの人の中には、音楽用語であるクリシェの意味や使い方が分からないという人も多いのではないでしょうか。

クリシェは半音・全音ずつ音が移動するテクニックで、基本的な種類やパターンを理解すれば作曲活動の幅を広げることができるのです!

本記事では、クリシェの基本的な種類やパターンと、クリシェが使用された有名なJPOP曲を紹介します。

この記事を読んでクリシェを用いた絶妙なアレンジテクを覚えて、今後の音楽活動に生かしてください!

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2020.05.26

1.クリシェとは

クリシェ(cliché)とは、同じ和音(コード)が長く続くとき、構成音の一つを半音・全音ずつ変化させていくことです。

コードは「1度」「3度」「5度」の三つの構成音を基本として成り立っていますが、クリシェではそれらを上げたり下げたりしながらコードを繋げていきます。

元々クリシェはフランス語で、「よく聞くありがちな決まり文句や表現」という意味です。

ありふれたものになってしまった対象という用法から転じて、音楽の世界でクリシェは「装飾的にコードの中のあるひとつの音を順番に下げたり上げたりしてコードそのものを変化させていくこと」を指すようになりました。

このように、クリシェはコード進行を作る際の技法のひとつで、同一コード内の一部の音を半音もしくは全音上げ下げすることで曲に変化をもたらすのが特徴です。

(1)クリシェを用いるメリット

クリシェを用いるメリットは、コード自体を変更することなく、同一のコードが続く単調さから脱却できることです。

それは、同じコードの中に半音もしくは全音の変化を付けながらスムーズなラインを奏でることができるからです。

さらに音が下がったり上がったりすることで生じるその微妙なニュアンスによって、表現力を増すことも可能になります。

そのためクリシェを取り入れた曲は、より情感的に哀愁的な進行に仕上がるというメリットもあります。

クリシェはロックやポップスなどによく見られる音楽的手法で、曲を作る時の引き出しのひとつになるでしょう。

2.クリシェの種類

クリシェには大きく分けて2種類があります。

一番高い音(トップノート)を変化させるものをラインクリシェ最低音(ベース音)を変化させるものをベースラインクリシェと呼びます。

以下に、ラインクリシェとベースラインクリシェの解説と、よく使用されるパターンを紹介します。

  1. ラインクリシェの解説と基本パターン
  2. ベースクリシェの解説と基本パターン

(1)ラインクリシェの解説と基本パターン

ラインクリシェでは、変化する音は「1オクターブ高いルート音」あるいは「5度の音」です。

コードの第3音(3rd)はコードの性格を決める性質から変更することはできないため、ルート音をや第5音を半音~2音変化させます。

ラインクリシェはポップスミュージックでは定番に使われる手法で、メロディアスで感動的なスムーズな旋律を作りだすことができるという利点があります。

#1:ルート変化パターン

ラインクリシェのうちルート変化パターンは、コードのベースとなるルート音ではなく1オクターブ高いルート音を変化させる技法です。

例を挙げると、コードが「C(「ド」「ミ」「ソ」「ド」)」とすると、下3音は変化をせず最も高い「ド」が「ド♯」や「シ」に変化をしていきます。

代表的なルート変化では、C「ドミソ」→CM7「ドミソシ」→C7「ミソシ♭」→C6「ドミソラ」といったパターンがあげられます。

このようにルート音は変化しますが、「低いド」「ミ」「ソ」音は変化をしないので、曲の雰囲気が大きく変わることはありません。

このルート変化型のラインクリシェはバラードの曲で取り入れられることが多く、単調なコードをドラマチックな印象に変化させることができます。

#2:5度音変化パターン

ラインクリシェのうち5度音パターンは、コードの5度音のみが変化していきます。

例えば、最初のコード「C(「ド」「ミ」「ソ」)」をベースに、下の2音はそのままで、「ソ」を「ラ」や「ファ#」と変化させていきます。

5度音を変化させるのみならず、5度の音から半音~2音変化させた音を追加させる場合も5度音変化パターンのラインクリシエということができます。

代表的なルート変化では、C「ドミソ」→C♯5「ドミソソ♯」→C6「ミソラ」→C7「ドミソシ」といったパターンがあげられます。

下の2音は保持されていることから、コード進行の安定感はキープできます。

また、変化させる音は上昇や下降のみならず、一回上昇してから下がるアレンジを加えるなど曲に合わせて変化させるとより独特な雰囲気になるでしょう。

(2)ベースクリシェの解説と基本パターン

ベースクリシェは、コードの最低音(ベース音)を変化させることを指します。

最低音が変化することはコードそのものが変化するため、厳密にはクリシエと異なるものとなりますが、大きなくくりとしてクリシエと同じ動きになるので紹介を行います。

ベースラインクリシエでは最初のコード「C(「ド」「ミ」「ソ」)」をベースに、の上2音はそのままで、「ド」を「シ」や「ド#」と変化させていきます。

ベース音を変化させるのみならず、ベース音から半音~2音変化させた音を追加させる場合もベースラインクリシエということができます。

例えば、最初のコード「C(「ド」「ミ」「ソ」)」をベースに、CM7onB「シドミソ」→C7onB♭「シ♭ドミソ」→C6onA「ラドミソ」と変化をしていく進行は代表的です。

コード自体の安定感を保持し続けたたまま、コード変化をさせることができるため、おしゃれな響きを演出することができます。

3.クリシェが使用された有名なJPOP曲5選

クリシェが使われている曲には世界的な有名曲も多数ありますが、今回はJPOPの中から厳選して以下の6曲を紹介します。

  1. ドリカム「LOVE LOVE LOVE」
  2. 小林明子「恋に落ちて~Fall in Love」
  3. 椎名林檎「歌舞伎町の女王」
  4. ZIGGY「GLORIA」
  5. サザンオールスターズ「真夏の果実」

(1)ドリカム「LOVE LOVELOVE」

クリシェが使用された有名なJPOP曲2つ目は、ドリカムの「LOVE LOVE LOVE」です。

この曲はドリカムの18枚目のシングルで1995年7月24日に発売されました。

「LOVE LOVE LOVE」はクリシェを多用している、まさしくクリシェだらけの曲として知られています。

例えば「ねえ〜どうして〜」というAメロ歌いだしからクリシェが取り入れられています。

コード進行

|D♭  D♭/C|D♭/B  B♭7|
|E♭m  E♭m/D |E♭m/D  F7 |

|B♭m  B♭m/A |B♭m/A♭  E♭7 |
|G♭  A♭ |B♭m |

この8小節ではまず、D♭の「レ♭」が「レ♭」→「ド」→」「シ」→「シ♭」と半音ずつ下がっていきます。

続いて、E♭mの「ミ♭」が「ミ♭」→「レ」→「レ♭」と半音ずつ下降していきます。

その後、B♭mのドミナントのコードのF7からB♭mへ進み、「シ♭」→「ラ」→「ラ♭」と再び半音ずつ下がります。

この曲はクリシェを多用していることでメロディー自体の良さが際立つことはもちろんのこと、クリシェというアレンジでより切なさを強調しています。

(2)小林明子「恋に落ちて~Fall in Love」

クリシェが使用された有名なJPOP曲3つ目は、小林明子の「恋に落ちて~Fall in Love」です。

この曲に取り入れられているクリシェで注目すべきは、サビ後半の「ダイヤル回して手を止めた」の部分です。

コード進行

|B♭m F/A |D♭/A♭ Gm7♭5|

B♭mのルート音(コード内の一番低い音)が「シ♭」→「ラ」→「ラ♭」→「ソ」と下降していきます。

この曲は多くのアーティストにカバーされながら、今なお歌い継がれている名曲です。

こちらの楽曲はアマゾンミュージックで聴くことが可能です。

(3)椎名林檎「歌舞伎町の女王」

クリシェが使用された有名なJPOP曲4つ目は、椎名林檎の「歌舞伎町の女王」です。

この曲では、最初のイントロ部分にクリシェが取り入れられています。

コード進行

|Bm BmM7/A|Bm7/A BmM7/A#|

|Bm BmM7/A|Bm7/A BmM7/A#|

このように、Bmのルート音である「シ」が「シ」→「ラ#」→「ラ」→「ラ#」と下降・上昇を繰り返す動きになっています。

また、コードトーンにも注目してみると、ベース音と同様に、「シ」→「M7thのラ#」→「M7thのラ」→「M7thのラ#」という動きをしています。

この曲を作曲した椎名によると、楽曲自体は大まかなアレンジを含め、30分程度で完成したと語っています。

その際に女の子がドラムを叩いている映像がイメージされたと言い、レコーディングでもその女の子になったつもりで椎名自身がドラムを叩いています。

(4)ZIGGY「GLORIA」

クリシェが使用された有名なJPOP曲5つ目は、ZIGGYの「GLORIA」す。

ZIGGYの2度目のシングルカット曲で、1989年にフジテレビ系テレビドラマ『同・級・生』の主題歌に起用されました。

ロックなサウンドが格好良く、約32.9万枚(オリコン3位)を売り上げ、ZIGGY最大のヒット曲として知られています。

コード進行

|C    |C/B   |C/B♭ |A7     |

|Dm |DmM7/C#|DmM7/C |G  |

コード進行を見てみると、Cコードのルート音の「ド」からスタートして、「ド」→「シ」→「シ♭」→「ラ」と半音ずつ下がっていることがわかります。

そしてDmのドミナントコードのA7からDmに行き、ルート音である「レ」から半音ずつ「レ」→「ド#」→「ド」と加工していきます。

最後にCコードのドミナントコードのGコードで、それを繰り返す動きです。

この曲は1988年に発売されましたが、いまだに色褪せることなく時代を超えて愛されています。

こちらの楽曲はラインミュージックアマゾンミュージックで聴くことが可能です。

(5)サザンオールスターズ「真夏の果実」

クリシェが使用された有名なJPOP曲6つ目は、サザンオールスターズの「真夏の果実」す。

この曲は28作目のシングルとして、タイシタレーベルから8cmCDで1990年7月25日に発売されました。

公式のファン投票でも200数十曲の中からライブでのリクエスト第1位に選出されるなど、サザンの楽曲の中でも屈指の人気を誇る代表作です。

Bメロの「こらえ〜 きれなくて〜」の部分にクリシェを見ることができます。

コード進行

|G    |A   |F#m|B     |

|Em |EmM7|Em7 |Em7♭5 A7|

ここで注目すべきはEmのコードトーンの「ミ」が下がり、「ミ」→「レ#」→「レ」という動きです。

「こらえ〜 きれなくて〜」という歌詞にクリシェがスパイスとして加わることで、心の葛藤が手に取るように伝わってきます。

作詞・作曲を行っている桑田は楽譜が読めず、楽譜が読めるのはサザンのメンバーでは原だけにもかかわらず、これほど多くの世代に愛される曲を作れるのはある意味天才と言えるでしょう。

こちらの楽曲はラインミュージックアマゾンミュージックで聴くことが可能です。

まとめ

今回の記事では、クリシェの基本的な種類やパターンと、クリシェが使用された有名なJPOP曲を紹介しました。

コード進行の技法の1つであるクリシェを取り入れると、コード自体を変更することなく曲に変化を付けられるため単調さからの脱却が可能です。

この記事を読んでクリシェの基本的な知識を頭に入れたら、今後の音楽活動にぜひ役立ててくださいね!

なお、以下の記事でフリーランス作曲家として活動できるサイトを紹介しているので、あわせてご覧ください。

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