「マイナースケールってメジャースケールとどう違うの?」
「マイナースケールってどのような規則性なの?」
ダイアトニックスケールを勉強している人の中には、マイナースケールを具体的に理解できていない人も多いのではないでしょうか。
マイナースケールはメジャースケールに比べて使用頻度が少ないイメージがあるかもしれませんが、実はマイナースケールを覚えることでいくつものメリットがあるのです!
本記事では、マイナースケールの概要や勉強するメリット、覚えるコツを紹介します。
この記事を読めば、音楽理論で重要なマイナースケールの理解度を深めることができますよ!
なお、ダイアトニックスケールについて以下の記事で具体的に紹介しているので、あわせてご覧ください!
目次
1.マイナースケールとは
マイナースケールとは、ダイアトニックスケール(鍵盤上の12音のうち7つの音が規則的に並んで構成されたグループ)の1つで、「ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ」の順に聴こえる音の並びのことです。
マイナースケールは主に以下のような特徴があります。
- ダイアトニックスケールのうちの1つ
- 暗い響きを感じる音の並び
- マイナーキーのダイアトニックコードを構成している音
- 哀愁や陰気な雰囲気がある楽曲に使われる傾向がある
明るく希望が感じられるようなメジャースケールに比べて、マイナースケールは暗い響きのある音の並びで、何か寂しい印象を出すことができます。
バラードなど悲しい雰囲気を出しつつもメッセージ性の強い楽曲に使われることが多いので、マイナースケールも使用頻度が高いことを覚えておきましょう!
なお、以下の記事でマイナースケールの一覧をまとめているので、あわせてご覧ください。
2.マイナースケールの規則性
マイナースケールを勉強する上で規則性を把握することは重要です。
マイナースケールの7音は以下の規則性に従って並んでいます。
全音→半音→全音→全音→半音→全音→全音
半音:基点となる音の隣の音
全音:基点となる音から1音飛ばした音
たとえば、一番最初の音をドとしたときに、この規則性に従って音を並べると「ド・レ・レ♯・ファ・ソ・ソ・→ラ♯」となります。
ちなみに、ドを基点にして以下のメジャースケールの規則性に従って並べると「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」となることから、マイナースケールがメジャースケールと音の並びが違うことが明確です。
全音→全音→半音→全音→全音→全音→半音
半音:基点となる音の隣の音
全音:基点となる音から1音飛ばした音
マイナースケールの規則性はメジャースケールの規則性を基点の音を5つずらした形なので、2の規則性をあわせて覚えておきましょう!
なお、以下の記事でメジャースケールについて具体的に紹介しているので、あわせてご覧ください!
3.マイナースケールを覚える4つのメリット
マイナースケールを覚えるメリットを紹介します。
主なメリットは以下の4つです。
順に紹介するので、マイナースケールを勉強するモチベーションを高めましょう!
(1)全てのダイアトニックスケールに対応できるようになる
マイナースケールを覚えることで、全てのダイアトニックスケールに対応できるようになります。
マイナースケールよりもメジャースケールの方が使用頻度が高いので、先にメジャースケールから覚える人が多いです。
しかし、演奏したい楽曲がマイナースケールだったり、転調によって使用音がマイナースケールに変わったりするので、マイナースケールを覚えておくことでスムーズに全てのスケールを使いこなすことができます。
将来的にマイナースケールと接触する可能性があるので、苦労しなくて済むようにメジャースケールと並行して勉強しておきましょう!
(2)音楽の表現力が向上する
全てのダイアトニックスケールに対応できるようになるので、使える音が増えて音楽の表現力が向上します。
メジャースケールだけでも十分幅広い楽曲を演奏したり作曲したりすることができますが、マイナースケールが加われば、メジャースケールだけで表現するのが難しい暗い響きが中心の楽曲も扱えるようになるのです。
楽曲にはマイナーキーのものも多く、マイナースケールをマスターすることによって取り組める楽曲も増えるので、より音楽を楽しむことができます。
音楽スキルは表現力に直結するので、他者に自分の思いを込めて音楽を届けたい人は、マイナースケールも覚えておきましょう!
(3)複雑な楽曲も演奏できるようになる
メジャースケールに加えてマイナースケールを覚えることで、複雑な楽曲も扱えるようになります。
楽曲ごとにキーが決まっているのが一般的ですが、中には転調によってメジャーキーとマイナーキーの両方が使われている楽曲もあるのです。
たとえば、サザンオールスターズの「TSUNAMI」は基本的にはDがキーですが、Bメロの部分だけDmにキーが転調しています。
メジャーキーからメジャーキー、マイナーキーからマイナーキーに転調するのが一般的ですが、演奏したい楽曲がメジャーキーとマイナーキー間の移行など、特殊な転調をしている場合もあるでしょう。
特殊な楽曲も扱えるようになるためにはマイナーキーを覚えておくことをおすすめします!
(4)作曲スキルが向上する
マイナースケールを理解することで、作曲スキルが向上します。
メジャースケールから構成されているメジャーコードだけでも十分に作曲できますが、マイナースケールから構成されているマイナーコードも自由に使えるようになるので、作曲の幅が広がるのです。
また、メジャーキーからマイナーキーへの転調など幅広い工夫もできるようになるので、オリジナリティにこだわることもできます。
少しでも知識が多い方が作曲の引き出しも豊富になるので、クリエイターを目指している人はマイナースケールの把握は必須と言えるでしょう!
4.マイナースケール以外のダイアトニックスケール一覧
ダイアトニックスケールには、マイナースケール以外にもいくつかのパターンがあるので表にまとめて紹介します。
ダイアトニックスケールは、マイナースケールを含めて以下の7つです。
スケール名 | 音の並び | ドのスケール |
---|---|---|
イオニアン (メジャースケール) | 全音→全音→半音→全音→全音→全音→半音 | ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ |
ドリアン | 全音→半音→全音→全音→全音→半音→全音 | ド・レ・レ♯・ファ・ソ・ラ・ラ♯ |
フリジアン | 半音→全音→全音→全音→半音→全音→全音 | ド・ド♯・レ♯・ファ・ソ・ソ♯・ラ♯ |
リディアン | 全音→全音→全音→半音→全音→全音→半音 | ド・レ・ミ・ファ♯・ソ・ラ・シ |
ミクソリディアン | 全音→全音→半音→全音→全音→半音→全音 | ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・ラ♯ |
エオリアン (マイナースケール) | 全音→半音→全音→全音→半音→全音→全音 | ド・レ・レ♯・ファ・ソ・ソ♯・ラ♯ |
ロクリアン | 半音→全音→全音→半音→全音→全音→全音 | ド・ド♯・レ♯・ファ・ファ♯・ソ♯・ラ♯ |
ダイアトニックスケールの規則性は7パターンありますが、基点をずらしただけなので、基礎となるメジャースケール(イオニアン)を覚えておけば、自分で導くことが可能です。
しかし、音楽初心者はメジャースケールとマイナースケールを覚えておけば十分なので、全てのパターンを覚えようとせずに、2つのスケールをしっかり覚えておきましょう!
5.マイナースケールを覚える3つのコツ
マイナースケールを覚えるコツを紹介します。
マイナースケールを覚えるコツは以下の3つです。
順に紹介するので、マイナースケールを勉強するときの参考にしてください!
(1)全て覚えようとしない
マイナースケールを覚えるコツは、一度に全てを覚えようとしないことです。
メジャースケールでも同様ですが、使用頻度が極端に少ないスケールも中にはあります。
たとえば、G♯やB♭スケールはEmやFmスケールに比べると使用頻度が低くなるでしょう。
音楽初心者の多くは、♯や♭など記号のある音階に対して苦手意識を持ちがちなので、記号のない「Cm・Dm・Em・Fm・Gm・Am・Bm」の7つを押さえておくことをおすすめします。
もし、演奏したい楽曲や作曲したい楽曲のキーが記号持ちの場合は、その都度覚えていくと無理なく覚えることができますよ!
(2)規則性から自分で導けるようにしておく
マイナースケールは規則性に従って導かれているので、自分でいつでもマイナースケールを割り出せるようにしておくことをおすすめします。
マイナースケールの規則性を覚える上で重要なことは半音の位置です。
ダイアトニックスケールの規則性は、5つの全音と2つの半音によって成り立っています。
7つのパターンがありますが、基点がずれているだけで全音と半音の規則性は一定です。
たとえば、ドリアンというスケールの規則性は「全音→半音→全音→全音→全音→半音→全音」ですが、メジャースケール(全音→全音→半音→全音→全音→全音→半音)の最初の全音を一番後ろにずらした形になります。
そのため、半音が1~7番目のどの位置にあるのかさえ覚えておけば、ダイアトニックスケールの規則性を覚えることが可能です。
マイナースケールの半音の位置は2番目と5番目なので、いつでも規則性から導けるように半音の場所を覚えておきましょう!
(3)鍵盤をイメージしない
マイナースケールを覚えるときは、鍵盤をイメージしないことがポイントです。
黒鍵と白鍵から成る鍵盤をイメージすると、音楽初心者は黒鍵に抵抗を抱く傾向があり、全音や半音に当てはめるときに頭が混乱してしまう場合があります。
たとえば、黒鍵にはドやレの♯はあるのにミの♯がないなど、混乱の原因になってしまう可能性があるだけでなく、漠然と黒鍵=半音、白鍵=全音のような誤ったイメージが定着してしまう場合があるのです。
黒鍵と白鍵を分けて覚えようとすると正しいスケールを導くのに時間がかかってしまうので、鍵盤をイメージするのではなく、12の音階を横一列にイメージしましょう。
「C・C♯・D・D♯・E・F・F♯・G・G♯・A・A♯・B」と横一列に音階をイメージすることで、基点が定まれば簡単に全音と半音を割り出すことができます。
マイナースケールに限らず、ダイアトニックスケールを導くときはシンプルに音を捉えるようにしましょう!
まとめ
マイナースケールはダイアトニックスケールの1つで、メジャースケールと同様に重要です。
メジャースケールでは表現するのが難しい暗くて儚い雰囲気の楽曲に使われることが多いので、マイナースケールを勉強しておいて損はありません。
表現力や音楽理論の理解度が向上するので、今回紹介した3つのコツを参考にマイナースケールを勉強してみてください!
なお、以下の記事でダイアトニックコードについて紹介しているので、あわせてご覧ください!