「メロディックマイナースケールとはどんな音階?」
「メロディックマイナースケールが使われた有名な曲は何?」
このように悩んでいませんか?
メロディックマイナースケールは、マイナースケールの中でもより自然なメロディーを実現できる音階で、有名な曲の中にも多く使用されています。
今回の記事では、メロディックマイナースケールの概要や特徴を紹介するとともに、メロディックマイナースケールを使った代表曲も3曲紹介します。
この記事を読んでメロディックマイナースケールについて正しく理解し、ぜひご自身の曲作りにも取り入れてみてください!
目次
1.メロディックマイナースケールとは
メロディックマイナースケールとは、3種類あるマイナースケールの内の1つです。
マイナースケールは、以下の3種類の音階が順番に出来上がっていきました。
- ナチュラルマイナースケール
- ハーモニックマイナースケール
- メロディックマイナースケール
メロディックマイナースケールの出来た経緯を理解するために、まずは3種のマイナースケールを以下の通り順番に説明していきます。
(1)ナチュラルマイナースケール(自然短音階)
ナチュラルマイナースケールは、メジャースケールと対になる悲しい響きを持つ音階として、マイナースケールの中で最初に登場したスケールです。
例として、A(ラ)から始まるAナチュラルマイナースケールの構成音は以下になります。
A(ラ) B(シ) C(ド) D(レ) E(ミ) F(ファ) G(ソ)
ナチュラルマイナースケールを使った代表曲には、AbbaのMoney,money,moneyが挙げられます。
このように、基本の音から全音→半音→全音→全音→半音→全音→全音と上がっていく音階のことをナチュラルマイナースケール(もしくは単にマイナースケール)と言います。
(2)ハーモニックマイナースケール(和声的短音階)
ハーモニックマイナースケールは、ナチュラルマイナースケールをベースに、よりフレーズを解決した印象を強くさせ、より短調らしく聴こえるように改変したスケールです。
具体的には、ナチュラルマイナースケールの第ⅶ(7)音を半音高くします。
A(ラ) B(シ) C(ド) D(レ) E(ミ) F(ファ) G#(ソ#)
ナチュラルマイナースケールでは第ⅶ(7)音から1オクターブ上の主音につながる際に全音上がる必要があり、主音への結びつきが弱くなる傾向にありました。
そこで、第ⅶ(7)音を半音高くして次の主音につなげることでこの問題を解決し、フレーズを解決した印象を強くしたのがハーモニックスケールです。
ハーモニックマイナースケールを使った代表曲には、葉加瀬太郎の情熱大陸が挙げられます。
このように、ハーモニックマイナースケールは、主音へのつながりを解決することを目的としてナチュラルマイナースケールを改変した音階です。
(3)メロディックマイナースケール(旋律的短音階)
メロディックマイナースケールは、ハーモニックマイナースケールをベースに、メロディーとしての自然さを補うよう改変したスケールです。
具体的には、ハーモニックマイナースケールの第ⅵ(6)音を半音高くします。
A(ラ) B(シ) C(ド) D(レ) E(ミ) F#(ファ#) G#(ソ#)
ハーモニックマイナースケールは主音へのつながりを強くできた一方で、第ⅵ(6)音と第ⅶ(7)音の間が2つの音に挟まれることになったため旋律的には不自然さが生じることになりました。
そこで、第ⅵ音を半音高くすることによりハーモニックマイナースケールに生じたメロディーの違和感を解消し、より自然なメロディーを印象付けられるように、メロディックマイナースケールが誕生しました。
メロディックマイナースケールの代表曲は後程3.メロディックマイナースケールを使った代表曲で紹介します。
このように、メロディックマイナースケールは、メロディーとしての自然さを高めるためにハーモニックマイナースケールを改変した音階です。
2.メロディックマイナースケールの上行形と下行形
メロディックマイナースケールには、メロディーが上へ進むときに使われる上行形とメロディが下へ進むときに使われる下行形の2種類があります。
A(ラ) B(シ) C(ド) D(レ) E(ミ) F#(ファ#) G#(ソ#)
A(ラ) G(ソ) F(ファ) E(ミ) D(レ) C(ド) B(シ)
この通り、下行形のメロディックマイナースケールは第ⅵ(6)音・第ⅶ(7)音の半音上がりはなくなり、ナチュラルマイナースケールと同じ音階に戻っています。
このように、メロディックマイナースケールには上行形と下行形の2種類があり、上行形は第ⅵ音・第ⅶ音が半音上がる一方、下行形はナチュラルマイナースケールと同じ音階となります。
3.メロディックマイナースケールを使った代表曲3曲
メロデックマイナースケールを利用した代表曲を以下の3曲紹介します。
- ポルノグラフィティ/サウダージ
- Yesterday/ビートルズ
- ドレミの歌
順番に説明します。
(1)サウダージ/ポルノグラフィティ
ポルノグラフィティの「サウダージ」には、上行形のメロディックマイナースケールが使用されています。
「サウダージ」は、2000年に発売された4枚目のシングル曲で、初のオリコンチャート1位や出荷ベースのミリオンセラーを達成したポルノグラフィティの代表曲です。
サウダージは「郷愁・昔をなつかしく思い出すこと」を意味するポルトガル語で、恋人と別れる際の気持ちを歌っています。
曲調はラテン系で、勢いある楽曲にマイナースケールの響きがマッチしています。
このように、ポルノグラフィティの「サウダージ」は、上行形のメロディックマイナースケールを使用して恋人との別れを切なく歌い上げた楽曲です。
(2)Yesterday/ビートルズ
ビートルズの「Yesterday」には、上行形のメロディックマイナースケールが使用されています。
「Yesterday」は1965年にイギリス・アメリカから発売され、ビートルズの数ある楽曲の中でも非常に人気の高い楽曲です。
世界中のミュージシャンに支持され、最も多くカバーされた曲としてギネスに認定されていることからも比類ない名曲であることが伺えます。
歌詞を聴くと恋人との関係を歌ったようにも思えますが、実際にはポールマッカートニーが亡き母親のことを想って作った楽曲です。
現在の喪失感から昨日を懐かしみ昨日を信じるという切ない歌詞にメロディックマイナースケールが効果的に使用されています。
このように、ビートルズの「Yesterday」は亡き母を想う悲しさをメロディックマイナースケールを使用して切なく歌い上げた楽曲です。
(3)ドレミの歌
ドレミの歌は、全体的に明るい雰囲気の長調ベースの曲の中にメロディックマイナースケールが出てくる珍しい例です。
ドレミの歌は、1959年に公開されたミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」で使用された歌の1つで、日本でも学校で初めて習う曲としておなじみの楽曲です。
「ソは青い空」から続く駆け上がりのメロディーの中で自然にメロディックマイナースケールが使用されており、通常のマイナースケールを使った際の悲しい雰囲気を感じることはありません。
このように、ドレミの歌は長調ベースの曲の中に自然にメロディックマイナースケールを使用した珍しい事例です。
まとめ
今回の記事では、メロディックマイナースケールの概要や特徴を紹介するとともに、メロディックマイナースケールを使った代表曲も3曲紹介しました。
メロディックマイナースケールは、マイナースケールの中でもより自然なメロディーを実現できる音階で、有名な曲の中にも多く使用されています。
この記事を読んでメロディックマイナースケールについて正しく理解し、ぜひご自身の曲作りにも取り入れてみてください!