「編曲ってどんな風にやるの?」
「編曲をするには何から準備を始めたらいいの?」
編曲をするにあたって、何から始めたらよいのか分からない人も多いのではないでしょうか。
編曲は作曲家が作った主旋律にアレンジを加える作業のことをいいますが、実はしっかり準備をすることによってアレンジのクオリティが高くなるのです!
本記事では、編曲をする前の準備や編曲のやり方、編曲に必要なツールを紹介します。
この記事を読めば、音楽初心者でも編曲に挑戦することができますよ!
なお、以下の記事に編曲の詳細についてまとめているので、あわせてご覧ください。
目次
1.編曲とは
編曲とは主旋律以外の部分の構成や音を作ることです。
主旋律以外の部分にはイントロや伴奏、アウトロが該当し、主旋律を作る作曲とは作業が異なることを頭に入れておきましょう。
作曲家が編曲を行うこともありますが、日本には編曲作業を専門に行う編曲家という職業が存在します。
編曲アプリを使えば音楽初心者でも編曲が可能ですが、どうしても自力でできない場合は編曲家に依頼することも有効ですよ。
なお、以下の記事で編曲家について紹介しているので、あわせてご覧ください。
2.【準備】編曲前の重要な4つの準備
編曲に取り掛かる前にしておくべき準備を紹介します。
編曲前の重要な準備は以下の4つです。
編曲家の中には、作業と平行してこれらの項目を決める人もいますが、作業効率を上げるために音楽初心者は準備段階でしておきましょう。
それでは、順に紹介します。
(1)曲のジャンルを決める
まずは着手する曲をどのようなジャンルの曲にしたいかを決めましょう。
曲のジャンルによって、使う楽器や音のテンポ、ハーモニーの構成などが変わります。
作曲家から主旋律と同時に曲のイメージを伝えられた場合は、作曲家の意見を尊重する必要がありますが、作曲を兼ねていたり自由にアレンジができたりする場合は、なるべく細かくジャンル設定をしましょう。
たとえば、テンションが上がるようなアップテンポのロック曲や失恋した人の心の痛みを和らげるバラード調の応援歌など、細かく曲のテーマを決めることでリズムパートや楽器パートを作りやすくなります。
単にポップやクラシックなど大まかなくくりでテーマを決めても、アレンジの幅が広くなり、各楽器パート作りで停滞する可能性が高いです。
初心者の内は、編曲をやり遂げることに意味があるので、自分の好きな曲のテーマから始めましょう!
(2)参考にする曲を決める
決めたジャンルの既存曲の中から、アレンジの参考にするための曲を2~3曲決めましょう。
編曲を初めてする人が、いきなり主旋律だけの状態からイントロや伴奏をつけるのはハードルが高いです。
特に、主旋律の聴こえ方に影響を及ぼすコード進行や楽器パートの譜面作りは音楽の知識が求められます。
音楽の知識を習得することを優先してもよいですがなかなか作業が進まなくなるので、初めの内は、既存曲で使われているコード進行や楽器パートを真似しながら作業を進めた方がよいです。
参考にする曲を選んだら、主旋律以外の音を意識して繰り返し聴いてみてください。
(3)使用楽器の構成を決める
参考にする曲でどのような楽器が使われているかを考慮して、使用する楽器の構成を決めておきましょう。
使う楽器が決まっていると、作業に移ったときに曲のテンポや楽器パートの振り分けを決めやすくなります。
なお、この段階では使用楽器の候補として挙げる程度でかまいません。
参考にする曲で使われている楽器と自分が使ってみたいと思う楽器をリストアップして、楽器パートを作る際に、不要な楽器をリストから削除していくと作業効率が高くなりますよ!
(4)テンポやキーを決める
使用楽器の構成を決めたら、曲のジャンルに合わせて曲のテンポやキーを決めましょう。
特にテンポは事前に決めておくことで、リズムパート作りの効率が高くなります。
キーに関しては主旋律によってある程度決まるので、主旋律がどのキーを前提に作られているかの把握をしておくとよいでしょう。
参考曲を聴くときは、テンポやキーにも着目しておくとよいですよ!
3.【実践】編曲のやり方4つのステップ
編曲のやり方を段階的に紹介します。
編曲の工程は以下の4つです。
順に紹介するので、どのような流れで作業を進めるのか頭に入れておきましょう!
なお、以下の記事で編曲のコツを紹介しているので、あわせてご覧ください。
(1)リズムパートを作る
編曲の準備が整ったら、まずはリズムパートから作ります。
リズムパートとは、ドラムやベースなどメロディを支える楽器パートのことです。
リズムパートは各楽器のリズムの参考になる部分で、ドラムやベースの音を目安に他の楽器を演奏します。
事前に決めた曲のテンポを目安に、ドラムやベース音を楽曲編集ソフトや編集アプリに打ち込んでいきましょう。
リズムパートを作るときは、音に強弱や緩急をつけることでリズムに変化が生まれ、心地のよい曲にすることが可能です。
たとえば、ワン・ツー・スリー・フォーのように4回の打ち込みを1サイクルとしたときに、偶数部分やワンの部分だけを強くすることで、リズムの中にうねりが生まれます。
また、「タン・タン・タン・タン」の4分音符のリズムの後に、「タ・タ・タ・タ」の8分音符のリズムをつなげることで、音の流れに変化をもたらすこともできるのです。
聴きやすい曲にするためには、一定のリズムに囚われず、リズムに変化を加えることを意識しましょう。
(2)コード進行を組む(作曲時に未作成の場合)
曲全体のリズムが完成したら、コード進行を組みます。
音楽初心者がゼロの状態からコード進行を考えるのは難しいので、参考曲のコード進行をそのまま使いましょう。
他にも定番のコード進行を使うのも有効です。
たとえば、Cをキーコードにした「F→G→Em→Am」のコード進行は、王道進行と言われるほど日本の楽曲の多くに見られます。
有名なコード進行をピックアップしてみたので、参考にしてください。
コード進行名 | コードの展開 (Cコードがキー) | コード進行の特徴 |
---|---|---|
王道 進行 | F→G→Em→Am |
|
小室 進行 | Am→F→G→C |
|
カノン 進行 | C→G→Am→Em→F→C→F→G |
|
レット・イット・ビー 進行 | C→G→Am→F |
|
3456 進行 | Em→F→G→Am |
|
なお、以下の記事でコード進行について紹介しているので、コード進行について詳しく知りたい場合はあわせてご覧ください。
(3)リズム楽器以外のパートを作る
コード進行が完成したら、残りの楽器パートの譜面を作ります。
参考曲のコード進行を真似する場合は、参考曲の楽器パートもそのまま使ってみましょう。
各楽器パートを編集ソフトや編集アプリに打ち込んだら、音を確かめながら部分的に音量や音程を変えてください。
あくまでメロディを引き立てるための音なので、音量が大きくなったり抑揚が激しくなったりして主旋律が霞まないようにしましょう。
(4)各パートをミックスする
各パートの譜面が完成したら、ミックスして最終調整をします。
各パートを併せることで、音の違和感や不足感に気づきやすくなるのです。
たとえば、以下のような場合は調整する必要があります。
- ドラム音が強すぎてピアノ音が聴こえない
- オーケストラが弱すぎてヴァイオリンが先走っているような感じがする
- ギターソロなのに音量が小さくて物足りない
編集ソフトや編集アプリを使えばすぐに各パートを合成することができるので、楽器ごとの音量や音色の調整をしましょう。
4.編曲に必要な4つのツール
編曲をするときに最低でも揃えておきたいツールを紹介します。
今回紹介するツールは以下の4つです。
順に紹介するので、編曲の準備段階で揃えておきましょう!
(1)パソコン・タブレット
編曲作業にパソコンやタブレットは必須です。
予算に余裕があれば、デスクトップ型のパソコンをおすすめします。
編集作業はパソコンに大きな負荷をかけるので、以下のスペックのパソコンを用意しましょう。
項目 | スペック |
---|---|
CPU | Intel Core i 5以上 |
クロック周波数 | 2.3GB以上 |
メモリー | 16GB以上 |
OSに関しては、Windowsと Macのどちらでもかまいません。
自分の使いやすい方を選びましょう。
(2)編曲ソフト・編曲アプリ
編曲ソフトや編曲アプリを用意しましょう。
無料のものから音楽家が使用している有料のものまであります。
いきなり機能が豊富で操作が複雑なものを使うと、使い方に慣れる前に挫折する可能性が高いです。
購入後に後悔しないためにも、無料のものから使ってパソコン・タブレット操作に慣れましょう。
なお、以下の記事でおすすめの編曲ソフトや編曲アプリについて紹介しているので、あわせてご覧ください。
(3)オーディオインターフェース
編曲をするために、オーディオインターフェースも重要です。
パソコンとオーディオ機器の間にオーディオインターフェースを挟むことで、質の高い音を聴くことができます。
パソコンに直接ヘッドホンやスピーカーを接続するよりも、良質な音を認識できるので、細かい音の調整が可能です。
音楽初心者は使い方がシンプルで安価なものを購入することをおすすめします。
たとえば、NATIVE INSTRUMENTS社が販売しているKOMPLETEシリーズがおすすめです。
オーディオインターフェースの有無で音質を確かめてみてくださいね!
(4)ヘッドホン・スピーカー
モニターヘッドホンやモニタースピーカーも揃えましょう。
音楽専用のヘッドホンやスピーカーを使うことで、一般的なものでは気づけない音の違和感など、正確に音を聴き取ることができます。
モニターヘッドホンのおすすめはYAMAHA社が販売しているHPH-MT5です。
価格も15,000円とリーズナブルで、耳を完全に覆うオーバーイヤータイプなので着け心地もよいでしょう。
また、モニタースピーカーは小型で使いやすいFOSTEX社が販売しているP802-Sがおすすめです。
約1万円で購入でき、木製の枠組みなのでインテリアとしても置きやすいですよ!
ヘッドホンとスピーカーでは音の聴こえ方に差があるので、できればどちらも揃えて、ミックス作業で聴こえ方にばらつきがでないように調整しましょう。
まとめ
編曲をするには、まず曲のジャンルや使用楽器の構成を決めるなどの準備が必要です。
準備が終わったら、今回紹介した4つのステップの通りに編曲作業を進めてみましょう。
もし、編曲の機材選びがまだの人は、最低でも4つのツールを揃えることをおすすめします。
なお、自分で編曲する自信がないという人は、以下の記事で編曲を業者に依頼する方法について紹介しているので、あわせてご覧ください。