「パプリカはどんな曲?」
「米津玄師のパプリカにはどのような特徴があるの?」
このように悩んでいませんか?
パプリカは東京2020オリンピックの応援ソングとして米津玄師氏によって作られた、子供から大人まで国民的な人気を誇る楽曲です。
今回の記事では、パプリカの基本情報や人気の理由を紹介するとともに、パプリカコードの特徴を詳しく解説していきます。
この記事を読んでパプリカのコードについて理解し、ご自身の曲作りにも取り入れてみてください。
目次
1.パプリカとは
パプリカとは2018年に小学生5人の音楽ユニットFoorinによってリリースされた楽曲で、作詞・作曲・プロデュースを手掛けた米津玄師も後にセルフカバーしています。
NHKの2020応援ソングプロジェクトによる応援ソングとして東京2020公認プログラムに認証され、MV再生数は2億回を超え、ダンス動画も数多く投稿されました。
パプリカは、田舎の森でかけまわる子供たちの日常をこどもの日記のように綴った歌詞で、風土感やノスタルジーを感じることができます。
今までのいわゆる応援ソングのイメージとは一線を画していますが、米津玄師氏は「子供のころに歌っていたこの楽曲を大人になって思い出し、子供の時の自分に応援されることを期待して応援ソングと位置づけた」と語っておられます。
曲のキーはFメジャーから始まりサビでDメジャーに転調し、複雑なメロディー・コード進行で構成されています。
簡単に真似できる曲ではなく、聴けば聴くほど奥の深さを感じられます!
世界的にも活躍するダンサー・振付師の辻本知彦・菅原小春が振付を手掛けた子供からお年寄りまで踊れるパプリカダンスの人気とも相まって、社会現象ともいえるほどの人気を博しました。
このように、パプリカは東京2020オリンピックの応援ソングとして作られた楽曲で、奥の深い曲調と風土感漂う歌詞が世代を超えて多くの人に愛されています。
2.パプリカが人気の2つの理由
次に、パプリカが人気の理由を以下の3つに分けて説明します。
- 転調や旋律の複雑さが生む中毒性
- ヨナ抜きのメロディーがもたらす和風テイスト
順番に説明します。
理由1:転調や旋律の複雑さが生む中毒性
パプリカ人気の理由の1つ目に、転調や旋律の複雑さが生む中毒性が挙げられます。
パプリカは小学生がボーカルを務める応援ソングでありながら、子供がパッと口ずさむには難しい複雑な楽曲です。
例えばA・BメロのキーはFメジャーですが、サビではDメジャーに転調します。
また、曲のタイトルでもある「パプリカ」という言葉はこぶしを入れて歌う必要があるなど、旋律にも凝った箇所が多く見受けられます。
米津玄師氏の「子供向けだから簡単に歌えるもの」と子供におもねることなく、自分が良いと思うものを誠実に作り上げた姿勢が、聴く者を飽きさせず繰り返し聞きたくなる中毒性をもたらしたのです。
このように、パプリカが人気の理由に、転調や旋律の複雑さが聴く者を飽きさせず、中毒性をもたらしたことが挙げられます。
転調については以下の記事でも解説しているので、ぜひご覧ください。
理由2:ヨナ抜きのメロディがもたらす和風テイスト
パプリカが人気の理由の2つ目に、ヨナ抜きのメロディがもたらす和風テイストが挙げられます。
ヨナ抜きとは、「ド・レ・ミ・ソ・ラ」の五音で構成される音階(つまり「ファ・シ」を抜いた音階)のことを指し、民謡や童謡にも使われやすい音階です。
パプリカは完全にヨナ抜きではないですが、Aメロやサビ後半・1コーラスの始めと終わりにヨナ抜き音階でメロディを構成することにより和風テイストを実現しています。
上述の通りコード進行や旋律は複雑な構成ですが、和風テイストでどこか懐かしい哀愁を感じるメロディと組み合わせることで、老若男女問わず親しみやすい楽曲に仕上がっているのです。
ちなみに、ヨナ抜きコードのような五音で構成されるメロディーのことをペンタトニックスケールと呼びます。
ペンタトニックスケールについては以下の記事でも詳しく述べていますので参考にしてください。
このように、パプリカが人気の理由に、ヨナ抜きのメロディで和風テイストを実現し、哀愁のある親しみやすいメロディを奏でている点が挙げられます。
3.パプリカコードの特徴
ここからは、パプリカのコードの特徴を、以下の4つのパートに分けて解説していきます。
- Aメロ
- Bメロ
- サビ(※1)
- Cメロ(※2)
※1後に、Aメロ・Bメロ・サビの繰り返しあり
※2後にサビの繰り返しあり
順番に説明します。
(1)Aメロ
「パプリカ」のAメロのコード進行は以下の通りです。
|A# |A7 |Dm |Cm F |
”曲りくねりはしゃいだ道 青葉の森で駆け回る”
|A# |A7 |Dm |Gm F |
”遊びまわり日差しの街 誰かが呼んでいる”
AメロのキーはFメジャーですが、最初の音は早速ダイアトニックコードでないA#から始まります。
本来Fから始まるべきところをA#で代替していますが、次の音のA7を半音上から解決させたかったものと考えられます。
このコード進行により、独特の浮遊感が演出されていますね。
同じように、2小節目のA7もAmを代替しており、3小節目のDmに対するセカンダリードミナントになるように調整していると思われます。
(2)Bメロ
「パプリカ」のBメロのコード進行は以下の通りです。
|A# A7 |Dm |A# C |C#dim Dm |
”夏が来る影が立つ あなたに会いたい”
|A# A7 |Dm |A# A7 |D |
”見つけたのはいちばん星 明日も晴れるかな”
BメロもキーはFメジャーで、A#はAメロと同様の使われ方をしています。
また、C#dimはCからDmに行くためのつなぎの役割を果たします。
(3)サビ
「パプリカ」のサビのコード進行は以下の通りです。
|G F#7 |Bm D |G A |F#7 Bm|
”パプリカ花が咲いたら 晴れた空に種を蒔こう”
|G F#7 |Bm D |G E7 |A D |
”ハレルヤ夢を描いたなら 心遊ばせあなたにとどけ”
サビからは、キーがFメジャーからDメジャーに転調しています。
しかし、聴いていてもほとんど転調に気づかないほど自然な流れですよね。
これは、Bメロの終わりの流れであるA7→Dから、サビの最初のGにドミナント進行を使って転調しているためです。
違和感がないにも関わらず、哀愁漂うBメロとのギャップでサビの弾ける明るさを表現することに成功しています。
逆に、サビからAメロに戻るときも、サビの最後のDを共通コードとして転調するため、自然に戻ることができているのです。
(4)Cメロ
「パプリカ」のCメロのコード進行は以下の通りです。
GM7 A7|Bm7 |GM7 A7|F#7 Bm7
“会いに行くよ 並木を抜けて 歌を 歌って”
GM7 A7|Bm7 DM7 |GM7 A7|DM7
”手にはいっぱいの花を抱えて らるらりら”
4小節目のF#7は、次のコードのBm7に対するセカンダリードミナントコードです。
まとめ
今回の記事では、パプリカの基本情報や人気の理由を紹介するとともに、パプリカコードの特徴を詳しく解説しました。
パプリカは東京2020オリンピックの応援ソングとして作られた、子供から大人まで国民的な人気を誇る楽曲です。
この記事を読んでパプリカのコードについて理解し、ご自身の曲作りにも取り入れてみてください。