「コードっていろいろあって難しい…」
「一番使われてるコードはなに?」
コード進行の種類はいろいろあって、どういうものがあるのかわかりづらいですよね。
カノン進行を理解して使うことで、名曲を作ることが出来るようになりますよ!
本記事では、そんなコード進行の中でも最もポピュラーなカノン進行についてやそのポイント、またカノン進行が用いられた曲について紹介します。
目次
1.カノン進行とは
「カノン進行」というのは、ヨハン・パッヘルベルが作曲したカノンという曲の和声の理論の事を指しています。
日本のこれまでの音楽史を振り返ると、過去のヒット曲の多くはこの「カノン進行」を使ったコードが用いられています。
(1)カノン進行が美しい理由
本記事では、「キーコード=C(ド)」で表します。
C→G→Am→Em→F→C→F→G
上記がカノン進行のコードとなります。
このコードの流れには、誰もが親しみやすいと感じることができる雰囲気があり、美しい流れとして広く認識されています。
たとえば、スピッツのチェリーなどに使われています。
このコード進行が美しいのは、構成音が綺麗につながっているからです。
以下にカノン進行のはじめの4つのコードとその構成音を順に並べてみます。
C | G | Am | Em | |
1 2 3 | ド ミ ソ | ソ シ レ | ラ ド ミ | ミ ソ シ |
上記の青い太文字の部分の構成音が「ド→シ→ラ→ソ」というつながりを生み出していることがわかります。
#1:カノン進行の音のつながり
「キーコード=C」とは、ドを中心音としてドレミファソラシドの音をメインに使用する音楽のことです。
上記の「ド→シ→ラ→ソ」という流れは、ドを基準としてスケールに沿って一音づつ下げているということが理解できます。
このようにベースを下降させることで、聴き手に「前に進んでいく推進力」を強烈に感じさせることができます。
こういった音の動きが含まれていることが、カノン進行の最大の特徴です。
(2)カノン進行の特徴
さらに、カノン進行において注目されるのが「循環コード」のような構成になっているという点です。
これによって、カノン進行は多くの人に親しみやすさを感じさせます。
#1:循環コードとは
循環コードとは、コード進行の中で安定・不安定を通りもとに戻って繰り返すことのできるコード進行のことです。
たとえば、「キーコード=C」では下記が循環コードです。
C → Am → Dm →G
この循環コードのポイントは、3点です。
- はじまりに安定した響きのコード(C)がある
- 終わりに不安定な響きのコード(G)がある
- 全体を通して、機能的でスムーズなコードのつながりである
つまり、はじまりの安定的でどっしりとした響きのコードから不安定な末尾のコードに繋がり、その不安定性が再び安定的なコードを連想させるというコードの構成になっているということです。
#2:循環コードの機能
まずコードの機能は、大まかに以下のように分類されます。
- 安定=トニック(T)
- 不安定=ドミナント(D)
- 一時不安=サブドミナント(SD)
循環コードの機能において典型的な型は次の通りです。
T(安定)→T(安定)→SD(一時不安)→D(不安定)
このように、終わりに不安定なコードを入れることで冒頭の安定的なコードを連想させるという機能のつながりになっています。
通常コードを展開する場合には、安定、不安定、一時不安を「起承転結」のように繋げながら、ハーモニーに起伏をつけていきます。
その中でも上記のようにD(不安定)→T(安定)という流れは「不安定」が「安定」を解決するため、最も強いコードの進み方とされています。
循環コードとは、このようにD(不安定)→T(安定)で循環する流れを活用したものです。
#3:カノン進行を循環コードで解釈する
冒頭のカノン進行である「C→G→Am→Em→F→C→F→G」を循環コード的にみてみます。
C→G→Am→Em→F→C→F→G
T→D→T→T→SD→T→SD→D
これを見ると、先ほどあげた循環コードのポイントの3点がしっかりと使われていることがわかります。
また、この構成音のつながりの最後が「SD→D」という流れになっていることで、コード進行の推進力が生み出されています。
#4:循環コードの注意点
これまで述べてきたように、循環コードにおいてはコードの「不安定→安定」という流れが重視されます。
つまり、コードを何度も繰り返す(循環させる)ことはできます。
しかし、「不安定→安定」の流れがコード末尾から冒頭にかけてない場合は、いわゆる「循環コード」ではありません。
(3)カノン進行のポイント
これまでのカノン進行のポイントをまとめてみましょう。
カノン進行が親しみやすいものだと思われるのは、次の2つの理由があるからだとわかります。
1.構成音のスムーズなつながり
2.推進力のある機能的なコードのつながり
この2点を抑えれば、カノン進行らしい曲を作ることができます。
カノン進行を用いて曲を作ると、勇気づけられるような応援歌や空を飛ぶような飛翔感、合唱曲のようにみんながひとつになるような一体感を演出することができます。
カノン進行の素晴らしいところは、明るいメジャーキーと暗いマイナーキーが交互に行き交う問い特徴があり、明るい開放的な雰囲気と切ないセンチメンタル感を同時に内包していることです。
そのため、明るい曲にもバラードにも用いることができ、「いい曲」を作りやすいというわけです。
(4)カノン進行を使用する場合の注意点
カノン進行の弱点は、曲の雰囲気が似てしまう可能性があるということです。
日本人には特に馴染み深いコード進行であるため、メロディーが既存の曲と似てしまったり、聞いたことがあるようなメロディーになりやすいという落とし穴があります。
そのため、一時期カノン進行が用いられた曲が減少しました。
しかし、あいみょんやSEKAI NO OWARI、Official髭男ディズムなどのヒット曲には、カノン進行が使われており、「黄金コード」であることは疑いようがないでしょう。
2.カノン進行が用いられている曲
これまでも述べてきたように、カノン進行は多くの曲で使用されています。
またその多くが、ヒットしていることも事実です。
- カノン進行をほぼそのまま活用している曲
- 4つ目のコードをセブンスにする
- 4つめのコードを変える
ここでは、どういった曲にカノン進行が用いられているのか紹介します。
(1)カノン進行を3つの方法でアレンジして用いている曲
親しみやすい響きを持ったカノン進行ですが、実際には様々なアレンジを加える形で用いられています。
ここでは、そのアレンジについて紹介します。
- Basket Case / Green Day
- Don’t look back in anger / Oasis
- Let it be / The Beatles
順に紹介します。
#1:Basket Case / Green Day
Green Dayの代表曲、Basket Caseはカノン進行をほぼそのまま活用しています。
この曲の冒頭のコードは、「D→A→Bm→F#m→G→D→A」で、「キーコード=D」表現したカノン進行とほぼ同じです。
バンドアレンジを加えることで、親しみやすさのみを残しています。
#2:Don’t look back in anger / Oasis
Oasisの代表曲、Don’t look back in angerもカノン進行が使われています。
4つ目のコードをセブンスにするカノン進行にスパイス的なアレンジを加えています。
「キーコード=C」で、Aメロに注目すると次のようになっています。
C→G→Am→E7→F→G→C
カノン進行とよく似ていますよね。
ポイントは4つ目のEmがセブンス化され、E7となっている点です。
これにより、「Em=ミ・ソ・シ」の構成音が「E7=ミ・ソ#・シ・レ」となります。
「ド→シ→ラ→ソ」とつながっていたものが次のように変化します。
ド→シ→ラ→ソ#
ソ#はCメジャースケールに含まれないため、異質な雰囲気を演出し、曲のアクセントになっています。
#3:Let it be / The Beatles
The BeatlesのLet it beは、4つ目のコードを別のコードに置き換えています。
「キーコード=C」で、AメロはEmをFに置き換えている次の通りです。
C→G→Am→F
構成音のつながりは、次のようなつながりになっています。
ド→シ→ラ→ラ
カノンの響きの裏をかいたような印象を与える効果があります。
(2)カノン進行のアレンジポイント
アレンジを加える際には、カノンらしさを裏切った形のものが多くそれによってオリジナリティーを生み出しています。
前半ではカノン進行と同じ流れで進み、4つ目・5つ目で独自のアレンジを入れる傾向にあります。
カノン進行をもとにコードを構成する場合、以下に注意するようにしましょう。
・カノン進行の基本コードを知ること
・基本の骨組みを残しつつ、途中に独自のアレンジを加えること
上記に注意すれば、親しみやしさを残しつつオリジナリティーを盛り込んだ曲を作ることができるでしょう。
(3)J−POPに用いられるカノン進行5選
J -POPにおいてカノン進行が用いられている曲をあげると以下の通りです。
- 愛を込めて花束を/Superfly
- シングルベッド/シャ乱Q
- さくら/森山直太郎
- マリーゴールド/あいみょん
- Pretender/Official髭男ディズム
順に見ていきましょう。
#1:愛を込めて花束を/Superfly
#2:シングルベッド/シャ乱Q
#3:さくら/森山直太郎
#4:マリーゴールド/あいみょん
#5:Pretender/Official髭男ディズム
これをみてみると、音楽の教科書に載っている曲や多くの世代でヒットしている曲などにカノン進行が使われていることがわかります。
(4)洋楽に用いられるカノン進行3選
続いて、洋楽にカノン進行が用いられている曲を見てみましょう。
- Let it be/The Beatles
- Whatever/Oasis
- All the Young Dudes/David Bowie
順に紹介します。
#1:Let it be / The Beatles
#2:Whatever/Oasis
#3:All the Young Dudes/David Bowie
1900年代のものが多いので、知らない人もいるもしれませんが上記もカノン進行を用いて作られています。
(5)カノン進行が用いられたアニソン3選
最後に、カノン進行が使われているカノン進行が使われているアニソンは以下の3つです。
- ハレ晴レユカイ/涼宮ハルヒの憂鬱ED
- ユメ語るよりユメ歌おう/ラブライブ!サンシャイン!!ED
- Clear/カードキャプターさくらクリアカード編OP
順に紹介します。
#1:ハレ晴レユカイ/涼宮ハルヒの憂鬱ED
#2:ユメ語るよりユメ歌おう/ラブライブ!サンシャイン!!ED
#3:Clear/カードキャプターさくらクリアカード編OP
有名なアニメでカノン進行が使われているのは、上記の通りです。
まとめ
このようにカノン進行はJ -POP、洋楽、アニソンなど様々なジャンルで使われています。
初めて曲を作る場合でも、カノン進行を用いればなんとなくいい曲が作れます。
しかし、コード進行だけに頼ってしまうと既存の曲に似てしまうのでアレンジすることで、インパクトや深みを出すことができるでしょう。
つまりカノン進行は様々なコードの中でもアレンジしやすく、ヒットしやすいコード進行で、メロディーがにてしまうという弱点も、アイデア次第でいい曲になるということです。
ぜひ、作曲する際にはカノン進行を取り入れてみてください。
なお、小室進行や王道進行など、その他のコードについて知りたい方は以下の記事も合わせてご覧ください。
つまり、このコード進行を使って曲を作るとヒットしやすいということができます。
これは、俗に「黄金コード」と呼ばれ、一時期ほとんどの曲で使われていました。