「クリシェ進行にはどんな効果があるんだろう?」
「いろんなコードのクリシェ進行を知りたい!」
クリシェについてなんとなく知っているけど、どのように使っていいかわからない方も多いのではないでしょうか?
一見難しそうに見えますが、実はクリシェの仕組みは意外と単純です。
クリシェを使うだけで簡単に曲調を変化させたり雰囲気を変えることができます。
本記事ではクリシェの種類と、クリシェを使ったコード進行を名曲8曲を使って徹底解説します。
この記事を読んでクリシエ進行をより詳しく理解し、明日からの楽曲制作に活かしていきましょう!
以下の記事ではコード進行について基本的な内容から詳しく解説を行っているので、コード進行についての知識が不十分だという方は以下記事から読んでみましょう!
目次
1.クリシェとは
クリシェ(cliché)とは、同じ和音(コード)が長く続くとき、構成音の一つを半音・全音ずつ変化させていくことです。
クリシェは主に2種類に分かれているので、それぞれ簡単に解説します。
(1)5度音変化型
5度音変化型というのは、その名の通り5度の音(和音のうち一番高い音)だけが変化していく進行です。
例えばCコード(ドミソ)からドミソの和音のソの音から半音上げたソ♯の音を付加した、ドミソソ♯の和音につなげる進行です。
そこからソ♯をラ→シ♭というふうに半音ずつ上げて和音をつなげていきます。
その場合、このようなコード進行になります。
C (ドミソ)→Caug(ドミソソ♯)→C6(ドミソラ)→C7(ドミソシ♭)
このような「5度音上昇型」は、調和はとれているものの違和感のある聞き慣れないコード進行です。
そのため、ハラハラした場面や高揚感を出したい時に使われることが多いです。
(2)ベース音変化型
ベース音変化型というのは、和音のうちベースとなる1度の音(和音のうち一番下の音)だけが変化していく進行です。
例えば、ドミソの和音のドの音から半音さがったシの音を付加し、シドミソの進行につなげます。
そこからシをシ♭→ラというふうに半音ずつ下げて和音をつなげていきます。。
その場合のコード進行はこのようになります。
C(ドミソ)→CM7/B(シドミソ)→C7/B♭(シ♭ドミソ)→C6/A(ラドミソ)
このように、ベースの音を変化させることで和音に自然な繋がりをもたせることができます。
2.クリシェ進行の例
クリシェは日本だけでなく、世界中の多くの楽曲に使用されています。
この記事では、クリシェが使われている名曲を8曲紹介し、そのコード進行を詳しく解説します。
- カブトムシ/aiko
- LOVE LOVE LOVE/DREAMS COMES TRUE
- 糸/中島みゆき
- 恋に落ちて-Fall In Love/小林明子
- 真夏の果実/サザンオールスターズ
- and I love you/Mr.children
- Michelle/The Beatles
- 時の流れに身をまかせ/テレサ・テン
順に紹介します。
(1)カブトムシ/aiko
aikoの代表曲でもあるカブトムシに、クリシェは使用されています。
サビの最後あたりの「生涯 忘れる」の部分です。
ここのコード進行は以下の通りです。
Am7(ラドミソ)→A♭6(ラ♭ドミ♭ファ)→Gm7(ソシ♭レファ)→G♭6(ファ♯シ♭レ♭ミ♭)
しょうがい わすれる
ラドミソ→ラ♭ドミ♭ファ→ソシ♭レファ→ファ♯シ♭レ♭ミ♭というように、ベース音であるラがラ♭→ソ→ファというふうに半音ずつ下がっています。
半音ずつ下降するコード進行で、切ないメロディの中にもインパクトを受けます。
(2)LOVE LOVE LOVE/DREAMS COMES TRUE
こちらもドリカムの代表曲であるLOVE LOVE LOVEにもクリシェ進行が使われています。
歌い出しの「ねえ どうして すごくすごく好きなのに」の部分です。
ここのコード進行は以下の通りです。
C(ドミソ)→CM7/B(ドミソシ)→C7/B♭(ドミソシ♭)→A7(ドミソラ)
ねえ どうして すごくすごく すきなのに
ドミソ→ドミソシ→ドミソシ♭→ドミソラというように、ベース音であるドの1オクターブ上の音が半音ずつ下がっています。
この曲は聞いているとクリシェを感じやすく、分かりやすいコード進行だと思います。
(3)糸/中島みゆき
日本を代表する「糸」にもクリシェが使われています。
サビの後半あたりの「織りなす布は いつか誰かを」の部分です。
ここのコード進行は以下の通りです。
Gm(ソシ♭レ)→GmM7(ソシ♭レソ♭)→Gm7(ソシ♭レファ)→Em7-5(ミソシ♭レ)
おりなすぬの は いつ かあなた を
ソシ♭レ→ソシ♭レソ♭→ソシ♭レファ→ミソシ♭レというふうに、ベース音であるソの1オクターブ上の音が半音ずつ下がっています。
このようにサビのまとまりがでるように、後半で使われることも多いです。
(4)恋に落ちて-Fall In Love/小林明子
80年代を代表するこの曲にもクリシェは使われています。
サビ後半の「ダイヤル 回して 手を止めた」の部分です。
ここの進行コードは以下の通りです。
B♭m(シ♭レ♭ファ)→F/A(ラレ♭ファ)→D♭(レ♭ファラ♭)→Gm7-5(ソシ♭レ♭ファ)
ダイヤル まわして てをとめ た
シ♭レ♭ファ→ラレ♭ファ→レ♭ファラ♭→ソシ♭レ♭ファというように、ベース音であるシ♭の音が半音ずつ下がっています。
このコード進行は、松田聖子さんの「瞳はダイヤモンド」の冒頭部分などにも使われており、メジャーなコード進行です。
少し不安定な進行が、悲しさや寂しさを表現しています。
(5)真夏の果実/サザンオールスターズ
こちらにもクリシェは使われています。
Bメロ後半の「今もこの胸に 夏はめぐる」の部分です。
ここの進行コードは以下の通りです。
Em(ミソシ)→EmM7(ミソシミ♭)→Em7(ミソシレ)
いまも このむねに なつはめぐる
ミソシ→ミソシミ♭→ミソシレというように、ベース音であるミの1オクターブ上の音が半音ずつ下がっています。
このコード進行を使うことで、切ない印象を出してサビに繋げています。
(6)and I love you/Mr.children
この曲では、歌い出しの「とべるよ きみにも」の部分にクリシェが使われています。
ここの進行コードは以下の通りです。
D(レファ♯ラ)→Daug(レファ♯シ♭)→D6(レファ♯ラシ)→ B♭/C(ドレファシ♭)
とべるよ きみにも はねをひろげ てごらんよ
D(レファ♯ラ)→Daug(レファ♯シ♭)→D6(レファ♯ラシ)→D7(レファ♯ラド)
いっしょにいこう さあじゅんびを ほら早くしておいでよ
ここではD→Daug→D6がクリシェ進行のコードです。
レファ♯ラ→レファ♯シ♭→レファ♯ラシというように、5度のラの音が半音ずつ上がっています。
このコードが高揚感を出していて、前向きな歌詞と歌い出しにぴったり合っています。
(7)Michelle/The Beatles
世界的に有名なこの曲にもクリシェは使われています。
一番分かりやすいイントロ部分で紹介します。
Fm(ファラ♭ド)→FmM7(ファラ♭ドミ)→Fm7(ファラ♭ドレ♭)→Fm6(ファラドレ)
ファラ♭ド→ファラ♭ドミ→ファラ♭ドレ♭→ファラドレというようにベース音であるファの1オクターブ上の音が半音ずつ下がっています。
この曲では、イントロだけでなく曲中にも多く使われており、クリシェを使った代表曲としても有名です。
(8)時の流れに身をまかせ/テレサ・テン
名曲中の名曲とも言えるこの曲にもクリシェが使われています。
サビの最後あたりの「だからおねがい そばにおいてね」の部分です。
Dm(レファラ)→C#aug(レ♭ファラ)→Dm/C(ドファラ)→Bm7-5(シレファラ)
だから おねがい そばにおいて ね
レファラ→レ♭ファラ→ドファラ→シレファラというように、ベース音であるレの音が半音ずつ下がっています。
ベース音が少しずつ下がることで、哀愁がうまく表現されています。
まとめ
今回の記事では、クリシェのコードの種類と、使用されている楽曲について詳しく解説をしました。
クリシェを取り入れることで、曲の雰囲気をがらっと変化させることができます。
しかし、クリシェは多くの楽曲で使われているので、似たような曲調になってしまうというデメリットもあります。
クリシェ進行についてよく理解し、うまく活用すればオリジナリティを出すことができます。
明日からの楽曲制作にぜひ取り入れてみてください!