「ベルティングボイスってそもそもどんな歌い方?ボイトレに良いと聞いたけど…」
「どうしても高音域になると、声が細くなってしまう…」
ベルティングボイスとは、高音域を力強く歌う歌唱法です。
しかし、意識するとうまくできなかったり、そもそもどんな声を出せば良いか分かりませんよね。
今回は、ベルティングボイスの概要や習得するメリット、ベルティングボイスの出し方を解説します。
ベルティングボイスを習得して、歌唱テクニックを増やし、気持ちよく歌いましょう!
目次
1.ベルティングボイスとは
ベルティングボイスは、地声のまま高音域を発声する歌い方のことです。
まずは、ベルティングボイスが何なのか?ミックスボイスとの違いを知っておきましょう。
- パワフルな印象のある地声のような高音発声のこと
- ミックスボイスとの違い
ベルティングボイスの捉え方は、講師によっても違うことがあり、定義は実は曖昧です。
当記事では、上記のような意味合いで使用します。
(1)パワフルな印象のある地声のような高音発声のこと
ベルティングボイスとは、パワフルな印象のある地声のような高音発声のことです。
通常高音域を発声する際は、ファルセット(裏声)を使います。
しかし、ファルセットは声帯を絞り込むようにして声を出すので、地声ほどの力強さは出ません。
裏声の筋肉ではなく、地声を出す状態のままの筋肉の使い方をすれば、高音域でも力強く歌えます。
歌手のMISIAさんは、ベルティングボイスで力強く高音を歌いますよね。
例えばこの動画のサビ部分が参考になります。
(2)ミックスボイスとの違い
ミックスボイスは、チェストボイス(地声)とファルセット(裏声)が混ざった中間の声です。
別名ミドルボイスとも呼ばれています。
ミックスボイスは、どちらかというと裏声に使い喉の使い方をし、ベルティングではあくまで地声と分類されます。
正直「ここからミックス、ここからベルティング」と定義付けられているわけではありません。
しかし、喉の筋肉の使い方が違うと言うことは認識しておいてください。
2.ベルティングボイスを習得するメリット
ベルティングボイスを習得するメリットは2つあります。
- 高音域を歌いやすくなる
- 声が裏返りづらくなる
ベルティングボイスを習得することで、より音域が広がり、滑らかに高音を歌えます。
メリットをそれぞれ説明していくので、トレーニングの際に意識してみましょう。
(1)高音域を歌いやすくなる
ベルティングボイスを習得する1つ目のメリットは、高音域を歌いやすくなることです。
ベルティングをする時は、裏声の時に使う最小限の筋肉だけを使い、地声のトーンのまま高音域を出します。
イメージで言うと、高音を出す時の喉の締め方、力みがなくなり、普通に歌っている時と同様に高音が出る感覚です。
ベルティングのボイスを習得すれば、自分が思っている地声の限界を超えられるので、歌唱の幅が大きく広がるでしょう。
(2)声が裏返りづらくなる
ベルティングボイスを習得する2つ目のメリットは、声が裏がりづらくなることです。
高音域を出すときに、人は喉を締め付けることで声帯を制御します。
喉自体は狭くなっているところに、大量の息を吐こうとすると、呼気が喉の中で詰まってしまうような状態になり、声が裏返ってしまうのです。
しかし、ベルティングボイスは、ファルセットの時と違って喉の締め付けは緩め。
そのため、声が裏返ることなく高音域を出せるでしょう。
歌う時の息の量がコントロールできない人は、合わせてリップロールの練習をするのもおすすめ。
詳細はこちらの記事でまとめましたので、併せて読んでみてください。
3.ベルティングボイスの出し方
ベルティングボイスの出し方を説明します。
- ハミングで強弱をつける練習をする
- 喉を開いて歌う癖をつける
- 声帯を閉じた状態で高音域を歌う
ベルティングボイスは、習得するまでにトレーニングが必要です。
初めての方は、今から解説する手順を真似してみましょう。
1つずつ説明していきます。
(1)ハミングで強弱をつける練習をする
ベルティングボイスを出すために、まずハミングで強弱をつける練習をしましょう。
ベルティングボイスは、咽頭・口腔・鼻腔の3つの共鳴腔を使い、音を響かせて高音域を出す発声の方法です。
共鳴させながら歌う感覚を掴むために、ハミングが最適。
- 口を閉じる
- 口を閉じたまま鼻呼吸を行う
- 鼻から声を出す感覚で「ンー」と音を出してみる
- 音を出した時に音が響く感覚を掴む
正しくハミングをしているときは、息の漏れがほとんどありません。
そして、口や鼻の奥に音が響いている感じがするはずです。
その状態で、音を強く出したり、弱く出したりしてみましょう。
音を強く出す時に、息の漏れが大きくなったり、響きがなくなる場合は共鳴を使えていません。
あくまでも喉に力を入れない状態で、強めの音を出す練習をしましょう。
(2)喉を開いて歌う癖をつける
ベルティングボイスを出すときは、喉を開いて歌う癖をつけましょう。
口を大きく開けて歌っているつもりでも、実は舌が喉の奥を塞いでいることがあります。
舌の根元に力が入っていると、舌が上がって喉を塞ぐので、リラックスしましょう。
力で下に押し下げると、不自然に喉に力が入るため、ベルティングボイスが出ません。
理想的な舌の状態は、あくびをした時をイメージしてください。
あくびをすると、舌の根っこが下がって喉の奥が大きく開く感覚がしますよね?
その状態を意図的に作り出せれば、喉の奥が開いてベルティングボイスが出やすくなります。
(3)声帯を閉じた状態で高音域を歌う
ベルティングボイスを出すときは、声帯を閉じた状態で高音域を歌います。
まずはエッジボイスと呼ばれる声を練習しましょう。
- 力を抜いてリラックスした状態を作る
- 地声で出しやすい声の高さで「あー」と発声する
- そのまま最も低い音域まで下げる
- 「ガラガラ」と言う限界音が出るまで音を下げる
- 喉の締まりを感じる
声帯が限界まで閉じると、音が出なくなって「ガラガラ」や「ガー」と言う音が喉から出るようになります。
喉が締まる感覚を覚えたら、いよいよベルティングボイスに挑戦しましょう。
- エッジボイスと同様に「あー」と発声する
- 声を高くしていく
- 裏声に切り替わる音域で地声を出すように意識する
最初のうちは、喉の奥だけを使うように意識するとベルティングボイスが出しやすいです。
慣れないうちはどうしても喉を使ってしまうので、喉が枯れたり、痛みを感じることもあります。
練習していて喉に違和感があったら中止し、また日を改めて練習しましょう。
慣れてくると、地声で出せる音域が広がり、ベルティングボイスで高音を出せるようになります。
まとめ
ベルティングボイスを習得すれば、力強い高音を出せるようになります。
裏声で繊細に歌い上げる、力強い高音でパワフルに歌うなど、歌唱の幅が広がるでしょう。
最初のうちはどうしても無意識に裏声につなげてしまったり、声が裏返ると思います。
しかし、無理をせずに喉の開きを意識しながらトレーニングを行えば、徐々に習得できますよ。
まずはハミングで共鳴を使う感覚を覚えて、その後声帯の開き・締めを感じる感覚を覚えてください。
意識して喉が開いた状態で歌えるようになれば、自分で限界だと思っていた音域が、地声で出るようになるでしょう。
記事の中で紹介したトレーニング法を実践して、新しい歌い方を習得してくださいね!