「音楽業界ってどんな業界?」
「転職に必要な音楽業界の仕組みや仕事内容を知りたい」
音楽業界は、アーティストが制作した音楽を音源化して販売・流通させる業界のことです。
しかし、未経験者にとってはどのような仕組みで著作物が管理されているかなどわからないことが多いですよね。
この記事では、音楽業界の概要や市場規模に加えて、音楽業界を構成する企業と音楽業界の仕事別年収を紹介します。
最後まで読めば、転職に必要な音楽業界の基本的な知識を理解できるでしょう。
目次
1.音楽業界とは?
音楽業界への転職を検討している方はまず、業界について理解しましょう。
- 音楽業界の概要
- 音楽業界の市場規模
- 音楽業界の歴史と今
音楽業界がどのような会社で構成され、市場規模はどの程度なのか解説します。
(1)音楽業界の概要
音楽業界とは、主に以下の職種で構成されています。
- 音楽プロダクション
- レコード会社
- 音楽出版社
- 著作権管理会社
音楽業界の仕事は主に、CDや音源の制作や販売、流通、著作権関係の管理です。
また、収益の仕組みは音源の販売などに限らずグッズ収益やコンサート収益、ファンクラブの運営益やメディア出演料で成り立っています。
音楽業界には、上記4つの会社のほかにライブ運営会社やインターネット配信プラットフォームなども絡み、複雑な構成となっています。
(2)音楽業界の市場規模
「生産実績・音楽配信売上実績 過去10年間合計|一般社団法人日本レコード協会」によると、過去10年の音楽生産実績や配信売上実績は以下のとおりです。
2013年にはオーディオレコードが市場のほとんどを占めていましたが、2022年には50%程度に落ちており、ストリーミングの領域がかなり広がっています。
2022年の音楽市場全体の実績は配信を含めて3兆円を超えており、3兆円を切った2019〜2021年までの市場規模を大きく上回る結果となりました。
音楽業界は衰退傾向にあり、市場規模が縮小しているようにいわれがちですが、実は2022年になった音楽の市場規模は拡大しています。
これには、音楽のサブスクリプションサービスでの配信の拡大が大きな要因となっているといえます。
(3)音楽業界の歴史と今
音楽業界の歴史と今について説明します。
音楽業界の始まりは16世紀に遡り、クラシック音楽を楽譜化して販売、レンタルする事業が生まれました。
これが音楽出版社の始まりです。
当時の音楽は貴族などが主催したコンサートで聴くのが主流でしたが、この貴族の役目を引き継いだのがイベントプロモーターです。
また、音楽家をマネジメントするのは貴族の仕事で、その仕事が今の音楽プロダクションの原点といえるでしょう。
17世紀には音楽出版社は貴族相手に楽譜を販売するように拡大し、産業革命によって音楽が大衆化したことで、一般的にも音楽が愛されるようになりました。
今のようにレコードが生まれたのは19世紀です。
録音技術やレコード技術の発達により、20世紀中盤には一般的にレコードが販売され、音楽を家で聴ける時代が訪れました。
この時代に生まれたのが今のレコード会社の原型です。
そして、カセットテープ・MD・CDと録音媒体が発達していき、現在はMP3が開発されました。
CD時代まではレコード会社一強時代でしたが、MP3配信技術の発達によりApple MusicやSpotifyのようなサブスクリプションサービスが誕生しました。
2.音楽業界の仕事内容とは
音楽業界の仕事内容を説明します。
- 音楽プロダクションでの仕事内容
- レコード会社の仕事内容
- 音楽出版社の仕事内容
1つずつ音楽業界に所属する企業が何をしているか、解説します。
(1)音楽プロダクションでの仕事内容
音楽プロダクションの仕事は、アーティストのマネジメントです。
アーティスト活動のサポートやスケジュール調整、宣伝などをおこないます。
またアーティストのファングッズの制作、ファンクラブの運営やレコード会社へのPRなども仕事です。
アーティスト活動のバックアップに関連する仕事が多く、音楽業界では華やかな職種です。
(2)レコード会社の仕事内容
レコード会社の仕事は、アーティストと契約してアーティストが制作した音楽をレコーディングし、音源として発売することです。
販売方法はCDとしてCDショップで販売、またはプラットフォームでの配信がメインとなります。
またCDショップへの流通の手配や販売するアーティストの楽曲の宣伝も実施します。
レコード会社は、アーティストが制作した音楽を販売するのがメインの仕事です。
(3)音楽出版社の仕事内容
音楽出版社の仕事は、楽曲の作曲家から著作権を預かって著作権管理事業者への届出を実施することです。
また、著作権管理会社から分配される印税・収益を徴収し、権利者である作曲家などへ分配します。
音楽関係の収益を管理して、利益を分配するのがメインの仕事であり、仕事としては著作権の委託契約の締結や収益管理がメインとなります。
3.音楽業界の主な職業の年収
音楽業界の主な職業の年収を紹介します。
- アーティストの年収
- 制作スタッフの年収
- ライブ関連スタッフの年収
- プロデューサーの年収
- PAエンジニアの年収
自分が目指す職業の年収がどの程度か把握しておき、転職の参考にしましょう。
(1)アーティストの年収
アーティストの年収は活動内容によってかなり幅があり、個人活動しているアーティストなら0〜30万円程度、大手レーベルで契約して言えるアーティストは数億円を超えることもあります。
活動内容や知名度によって年収に幅があり、一概にこの程度とはいえません。
ただし、アーティストとして成功すればかなりの年収を得られる可能性があるでしょう。
アーティストになる方法については、こちらも記事も参考にしてください。
(2)制作スタッフの年収
音楽業界の制作スタッフとして働く場合の年収は、480〜530万円がボリュームゾーンです。
例えば、サウンドクリエイターは500万円程度が平均値となり、一般的なサラリーマンよりもやや高い水準といえるでしょう。
また、アシスタントとベテランクリエイターの年収にはかなり格差があり、長年の経験で年収は上がっていきます。
(3)ライブ関連スタッフの年収
ライブのプロモーターやイベンターの年収は、平均的に640万円以上です。
プロモーターやイベンターは動かす金額が大きく、比較的年収が高い傾向にあります。
企業規模によって扱うライブの大きさが異なり、大手イベンター企業の社員年収は1,000万円以上になることもあるでしょう。
(4)プロデューサーの年収
プロデューサーの年収は平均的に500万円程度です。
ただし、あくまで平均値であり大手レコード会社で名プロデューサーと呼ばれるような人は年収1,000万円以上を稼いでいます。
またフリーランスになれば、数十億円を超える年収を得られる場合もあるでしょう。
音楽プロデューサーの詳細な情報は、以下の記事で解説しています。
(5)PAエンジニアの年収
PAエンジニアの平均年収は、200〜400万円程度が相場です。
未経験でPAエンジニアになる場合は、アシスタントから始めることとなり、最初のうちは200万円〜300万円が平均となります。
経験者の場合も300〜400万円がボリュームゾーンで、年収が高額とは言えません。
ただし、ベテランのPAエンジニアになり、アーティストから指名が入るレベルになると年収600万円以上も目指せます。
PAエンジニアの仕事内容や年収については、こちらを参考にしましょう。
まとめ
音楽業界は音楽プロダクションとレコード会社・音楽出版社や著作権管理会社で構成されています。
著作権の関係が複雑で構成がわかりにくいですが、それぞれ密接に関連しあって音楽市場ができています。
転職にあたって音楽業界を理解しておくことは非常に大切です。
未経験から音楽業界へ転職したいと考える方は、この記事を参考にして音楽業界の仕組みを理解したうえで転職活動を始めましょう。
音楽業界への転職についての詳細は、以下の記事で紹介しています。