「転調って具体的にはどういったことを指すの?」
「転調することでどのような効果があるの?」
転調が使われている楽曲が数多いですが、実際に転調でどのようなことをしているのかわからない人も多いのではないでしょうか。
転調について詳しく知らなくても音楽を楽しめますが、実は転調を理解して使うことでさまざまな効果があるのです!
本記事では、転調の効果や転調が使われている楽曲を紹介します。
この記事を読めば、転調に関する知識を増やしてより深く音楽を楽しめるようになりますよ!
目次
1.転調とは
転調とは簡潔に表すと曲の途中でキーを変えることです。
楽曲内で使われている音がどのスケール(音階)に属しているかを示しているのがキーで、楽曲には必ず1つのキーが決められています。
たとえば、キーがCの楽曲の場合は、「C・D・E・F・G・A・B」の音がメインで使われています。
転調では、キーがCからFやGなど別のキーに変わることをいい、Fに転調すると「C・D・E・F・G・A・B」から「F・G・A・B♭・C・D・E」がメインの音に移り変わるのです。
同じ音程でもキーが変わると音が異なるので、転調を使いこなすことによって聴こえ方に違いが生まれ、リスナーに対してさまざまな印象を与えることができます。
なお、転調に似た言葉に「移調」があり、意味は異なるので注意が必要です。
移調とは、すでに完成している曲のキーを変えることで、例としてカラオケでキーを変えることが移調にあたります。
転調は作曲やアレンジ段階で行うこと、移調は歌ったり演奏したりするときに行うことと認識しておきましょう!
また、以下の記事でスケールに関する内容を紹介しているので、知識を深めたい人はあわせてご覧ください!
2.転調の3つの効果
転調によって期待できる効果を紹介します。
抑えておくべき転調による主な効果は以下の3つです。
順に紹介するので、転調によってどのような影響があるのか頭に入れておきましょう!
(1)リスナーを飽きさせない
転調の最大の効果は、曲にメリハリが生まれリスナーを飽きさせないことができる点です。
転調をしなくても楽曲として十分成立しますが、一般的に1曲の長さはおよそ4分から5分ほどあるので、2番を終えてラストのサビに差し掛かるときに同じメロディーに飽きてしまう人もいます。
そこで、2番のサビやラストのサビで転調することで、同じメロディーでもインパクトが強くなるため、最後まで気持ちよく聴いてもらうことが可能です。
もし、作曲をするときに転調を使うときは、後半にかけて転調を駆使しましょう!
(2)最高潮に盛り上げる
転調によって、楽曲を最高潮に盛り上げることもできます。
ラストのサビの繰り返し時に半音上げることでメロディーの勢いが増し、響きがよくなりクライマックスを演出することが可能です。
特にバラードで効果を発揮しやすく、盛り上がりだけでなくリスナーへの感動も強くなります。
ラストのサビのリピート時の転調は、メッセージ性の強い楽曲におすすめの手法で、聴いている人の心を大きく動かしたいときに効果的と言えるでしょう。
(3)メロディーの印象を変える
メロディーの印象を変えたいときにも転調は有効です。
シンプルなコード進行で単調なメロディーの場合、他の楽曲に比べてオリジナリティが弱いこともあります。
そのときに転調することで、複雑なコード進行やメロディーにすることなく、途中で印象が変わり個性的なメロディーにすることができるのです。
転調にもいくつかパターンがあり、上がる場合もあれば下がる場合もあります。
上がる転調でも半音なのか3音なのかで聴こえ方が大きく異なるので、複数の転調を使って特徴的なメロディーにすることも効果的です。
ただし、1つの楽曲に転調を入れすぎると音域が広がりすぎてしまい聴きにくくなるので、楽曲のイメージを壊さないようにアクセントとして転調を使い分けましょう!
3.転調を使っている楽曲例
転調を使っている楽曲をいくつかピックアップして紹介します。
転調を使っている楽曲は無数にあるのですが、たとえば以下のような楽曲は転調の代表例です。
転調部分やキーの変化を紹介するので、どのような転調が行われているのかチェックしてみてください!
(1)サウダージ(ポルノグラフティ)
- 3分18秒
- Em→Fmに転調
- ラストサビの途中から半音上げている
ラストサビの途中で半音上げることで、最後の追い込みをかけています。
盛り上がりが最高潮になっているので、この転調はリスナーをグッと引き込む効果が特徴的です。
(2)Everything(MISIA)
- 5分35秒
- D♭→Dに転調
- 間奏からラストサビにかけて半音上げている
間奏からラストサビにかけて半音上げる転調はよく使われます。
メロディーの途中で転調していないので、最初はわかりにくいかもしれませんが、2分12秒あたりから始まるサビと聴き比べてみましょう!
(3)Stand By You(Official髭男dism)
- 2分59秒
- G♭→Gに転調
- ラストサビにかけて半音上げている
Cメロからラストサビにかけての転調は、一気に盛り上げにいっているので、リスナーも気づきやすい手法です。
Cメロから転調してラストサビにつなげると盛り上がりが実感できるので、聴き入りやすい特徴があります。
(4)愛をこめて花束を(Superfly)
- 3分56秒
- G→Aに転調
- ラストサビの追い込みで全音上げている
何度も同じパートを繰り返すと飽きがきやすいので、途中で全音上げることによって最後までリスナーの興味を惹くことができます。
最後の追い込みにも効果的で、最高潮に盛り上げて楽曲を締めることが可能です。
(5)夜に駆ける(YOASOBI)
- 3分33秒
- E♭→Dに転調
- Cメロから中間サビにかけて半音下げている
- 3分51秒
- D→Fに転調
- 中間サビからラストサビにかけて短3度上げている(2音上げている)
夜に駆けるは転調の手法が独特で、ラストサビで上げる前に一度半音下げている珍しい例です。
最終的にラストサビの転調は、元のキーであるE♭から全音上げている形なので、中間サビの転調が難しいと感じる人はラストサビの全音転調を意識しましょう!
まとめ
転調は音楽初心者にはわからない部分が多いかもしれませんが、何度も繰り返すうちに転調を聴き分けられるようになります。
作曲者はしっかり目的を持って転調を活用しているので、転調の効果を知っておくと理解しやすいです。
転調パートを何度も聴き返して、転調の手法やどのようなタイミングで行われるのかを把握しておきましょう!
なお、以下の記事で転調のやり方について紹介しているので、あわせてご覧ください!