「椎名林檎の丸の内サディスティックはどんな曲?」
「丸の内サディスティックのコード進行にはどのような特徴があるの?」
このように悩んでいませんか?
丸の内サディスティックは、当時海外で用いられていたJust The Two Of Us進行を邦楽に取り入れることで、今までにないオシャレでかっこいい独自性のある楽曲を生み出し、人気を博しました。
今回の記事では、丸の内サディスティックの基本情報や人気の理由を紹介するとともに、丸の内サディスティックコードの特徴を詳しく解説していきます。
この記事を読んで丸の内サディスティックコードについて理解し、ご自身の曲作りにも取り入れてみてください。
目次
1.丸の内サディスティックとは
丸の内サディスティックは、椎名林檎が1999年にリリースした楽曲で、シングルカットはされていないものの、ライブやテレビ番組でさまざまなアレンジで歌われ、椎名林檎の代表曲の1つとして多くの人に愛されて続けています。
椎名林檎がのちに結成した東京事変でも歌われたほか、宇多田ヒカルをはじめとする有名アーティストにも数多くカバーされました。
ところで、本曲の歌詞は難解で、曲は好きだけれど意味はよく分からないという人も多いのではないでしょうか。
実はこの曲、東京に上京してきたものの仕事もお金もないミュージシャンの悲哀が歌われており、若き日の椎名林檎自身のことを歌っているのではないかとも言われているんですよ!
歌詞中に出てくる「ベンジー」はBLANKEY JET CITYの浅井健一のことであり、実際に椎名林檎は浅井健一を敬愛していました。
この曲のキーはE♭メジャーで、曲中には当時日本では珍しかったJust The Two Of Us進行が取り入れられ、椎名林檎らしいオシャレでかっこいい楽曲に仕上がっています。
このように、椎名林檎の丸の内サディスティックはユニークな歌詞とかっこいいコード進行が特徴で、椎名林檎を代表する楽曲として人気を博しました。
2.丸の内サディスティックが人気の2つの理由
次に、丸の内サディスティックが人気の理由を以下の2点から解説します。
- オシャレでかっこいいJust The Two Of Us進行
- 難解な用語と言葉遊びが入り混じったユニークな歌詞
順番に説明します。
理由1:オシャレでかっこいいJust The Two Of Us進行
丸の内サディスティックが人気の理由の1つ目に、オシャレでかっこいいJust The Two Of Us進行が挙げられます。
Just The Two Of Us進行とは、Grover Washingtonの「Just The Two Of Us」という曲で使われていたコード進行のことを指します。
ジャズやファンク・R&Bなどでよく使われる、浮遊感のあるオシャレな雰囲気が特徴です。
丸の内サディスティックがリリースされた当時は日本でこのコード進行を使うアーティストはほとんどおらず、日本の音楽シーンに大きなインパクトをもたらしました。
今ではJust The Two Of Us進行という呼び名より、丸の内サディスティック進行と呼んだ方が通じるほどですよね!
このコード進行を用いた曲の例は以下の通りです。
- 愛を伝えたいんだとか/あいみょん
- 夜に駆ける/YOASOBI
- I LOVE…./Offical 髭男dism
このように、丸の内サディステッィクは、かつて洋楽でしか使用されていなかったオシャレでかっこいいコード進行をJ-POPに取り入れたことで人気を博しました。
丸の内サディスティックに使われているJust The Two Of Us進行については以下の記事でも解説しているので、ぜひご覧ください。
理由2:難解な用語と言葉遊びが入り混じったユニークな歌詞
丸の内サディスティックが人気の理由の2つ目に、難解な用語と言葉遊びが入り混じったユニークな歌詞が挙げられます。
リッケン620(ギターのモデル名)、マーシャル(ギターアンプ)、ラット(ギターのエフェクト)などの音楽専門用語は、聴く人が聴けば分かるけれど一般の人にはわかりづらい用語ですね。
また、「警官ごっこ」はローリングストーンズのCops and Rubberから、「ピザ屋の彼女」はBLANKEY JET CITYのピンクの若いブタから引用されているなど、知る人ぞ知るしかけがたくさん散りばめられています。
「マーシャルの匂いで飛んじゃう」は本当に飛ぶわけではなく気持ちがハイになるという意味でしょうし、「肺に映って」が「ハイ」と「鬱」を掛けているのだろうと予想されるように、言葉遊びのような歌詞になっている箇所もたくさんあります。
このような、簡単には理解できない難解な用語と言葉遊びが入り混じった独特な歌詞が、椎名林檎のカリスマ性のある世界観を作り上げています。
3.丸の内サディスティックのコードの特徴
ここからは、丸の内サディスティックのコードの特徴を、以下の3つのパートに分けて解説していきます。
- Aメロ
- Bメロ
- サビ
順番に説明します。
(1)Aメロ
「丸の内サディスティック」のAメロのコード進行は以下の通りです。
A♭△7 G7 |Cm7 E♭ E♭7
”報酬は入社後並行線で”
A♭△7 G7 |Cm7 E♭ E♭7
”東京は愛せど何にも無い”
1~2小節目の「A♭▵7→G7→Cm7→E♭→E♭7」は、上でも紹介したJust the Two of Us進行が使われています。
G7にセカンダリードミナントが使用され、G7からCm7へドミナントモーションしています。
ここが平行調への転調感を加速させ、メジャーキーかマイナーキーかあいまいになることで、浮遊感が生まれるのです。
(2)Bメロ
「丸の内サディスティック」のBメロのコード進行は以下の通りです。
A♭△7 B♭7 |E♭△7 G7
”リッケン620頂戴”
A♭△7 B♭7 |E♭△7 G7
”19万も持って居ない 御茶の水”
1~2小節目の「A♭▵7→B♭7→E♭▵7→G7」は、A♭▵7→B♭7→E♭▵7まで基本のコード進行が続いた後のG7がポイントです。
マイナーキーの感じが強くなることでメジャーキーかマイナーキーかがあいまいになり、浮遊感が表現されるのです。
(3)サビ
「丸の内サディスティック」のサビのコード進行は以下の通りです。
A♭△7 G7 |Cm7 E♭7
”マーシャルの匂いで飛んじゃって大変さ”
A♭△7 G7 |Cm7 Cm7/B B♭7 Adim
”毎晩絶頂に達して居るだけ”
A♭△7 G7 |Cm7 E♭7
”ラット1つを商売道具にしているさ”
A♭△7 G7 |Cm7 Cm7/B B♭7 Adim |A♭△7
”そしたらベンジーが肺に映ってトリップ”
サビの初めは、Aメロと同じくJust the Two of Us進行が使われています。
4小節目の「Cm7→Cm7/B→B♭7→Adim」は、分数コードを使いながらベース音を半音ずつ下降させていて、このまま5小節目のA♭7までつながります。
このようなコード進行をパッシングコードと呼びます。
まとめ
今回の記事では、丸の内サディスティックの基本情報や人気の理由を紹介するとともに、丸の内サディスティックコードの特徴を詳しく解説しました。
丸の内サディスティックは当時海外で用いられていたJust The Two Of Us進行を邦楽に取り入れることで、今までにないオシャレでかっこいい独自性のある楽曲を生み出し、人気を博しました。
この記事を読んで丸の内サディスティックコードについて理解し、ご自身の曲作りにも取り入れてみてください。